サウジアラビアを走る5日間のステージレース、サウジツアーは2月2日に第4ステージが行われ、片山右京が率いるJCL TEAM UKYO(チーム右京)の山本大喜が最後の山岳でも食らいつき、総合成績を39位にアップさせた。
第4ステージ、天気が北風に変わったこの日は正午近くになっても肌寒さを感じる気候となる。いよいよ残るステージも2日、総合トップのジョナサン・ミラン(バーレーンビクトリアス)から20秒以内に21名のライダーが上位にひしめいているだけに、どのチームも重要なステ ージととらえているようだ。
コースは特徴的で、60kmの大周回を約2周半し、レースのクライマックスはラスト10km付近から。上りのピークにスプリント賞を設置した残り2.8km、平均12%・最大17%の急勾配があり、そこからゴールまでは吹きさらしの風を受け続ける平地レイアウトだ。
サウジツアーの総合優勝を左右するコースプロファイル、JCL TEAM UKYOは総合上位の可能性がある山本がどこまで食らいつけるか、そしてクライム能力の高いベンジャミ・プラデスの活躍に期待してレースはスタートした。
連日序盤からロングエスケープを打ち続けているJCL TEAM UKYO。この日もチャンスがあれば飛び出す作戦で機を狙った。しかし、序盤はワールドツアーチームがアタックを繰り返す緊張状態が続く展開。
岡篤志もチャンスを狙って飛び出したが、同調するワールドツアーの選手たちの強烈なスピードにプロトンにバックしてしまう。20km地点までアタックの応酬が続いたのち、この日のアタックを決めたのは総合成績で1分差につけているQ36.5のニコラス・ズコウスキーを含む4名。
高いスピードで逃げ続ける彼らを警戒して総合リーダーのジョナサン・ミランを擁するバーレーンビクトリアスがプロトンを牽引。2分の差をキープして先行を捉えつつ、他チームの攻撃を受けない距離を保った。この絶妙なコントロールにより、勝負の登りに入る直前にエスケープグループをキャッチ。登りに向け一気に各チームが先頭に押し寄せた。
岡は山本をうまくエスコートして不利なポジションから回避させ、上りの前にいいポジションに位置させる流れを作る。急勾配の山場へ各チームのアシスト勢が道を開くと、いよいよ本命の選手たちの勝負を賭けた戦いが始まった。
トップとの差は埋められない差ではない…山本大喜
一気に絞られたトップグループの後方にはプラデス、そして15mほど後ろには数名で山本も渾身の力で粘る。山頂へ向け、2022年のジロ・デ・イタリアで山岳賞を獲得しているモビスター のアルメイダ・ゲレイロが強烈なペースを作り出した。これに続いた選手はワールドツアーチームの3名のみ。そのまま後方とは20秒の差を保ちゴールへ突き進む。
山本は第4パックの5名で必死のペダリング、差を最小限に抑える。ゴールはゲレイロが先着し優勝。山本は2分20秒離されたが総合順位を上げる健闘をみせてゴール。
「前日の逃げで刺激が入り、今朝は、これはイケるかもしれないという前向きな体調でした」と山本。
「登りはチームメイトのプラデスが見える位置でクリアして持てる力を全てゴールへの向かい風に走りました。トップとの差はこの先力をつけていけば埋められない差ではない。自分の 目指すモノが確実に見えてきました」
「ワールドツアーチームが序盤から主導権を握る展開に苦しめられましたが、プラデスと山本が勝負どころの登りをいい位置でクリアできました」と清水裕輔監督。
「レース後に山本の前向きなコメントを聞いて、このレースで新たなモチベーションを得たことがチームとしてどれだけポジティブであるかと感じています」