サイクルツーリズム市場は1382万人、1315億円…サイクリスト国勢調査

全国各地でサイクルツーリズム事業(自転車・サイクリングを活用した観光振興事業)を展開する 一般社団法人ルーツ・スポーツ・ジャパンは、全国の15歳~74歳の男女1万人を対象にした「サイクリスト国勢調査2021」の調査結果を発表した。

「サイクリスト国勢調査」は、国内でサイクリングを楽しむ「サイクリスト」の行動実態把握を目的としたもので、2018年に続き2回目の実施。今回は主に、2020年以降の新型コロナウイルス禍を受けて、国内のサイクルツーリズム市場にどんな影響があったのか、人々のマインドや行動実態がどのように変化したのか、また新型コロナウイルス収束後の行動意欲などを、定量的なデータ分析から明らかにしている。

結果については広く一般に公開し、地方自治体や地域の観光振興・スポーツ振興団体などが、今後サイクリスト誘客に取り組む際に活用することを想定している。

調査によって得られた結果(一部を抜粋・数字は全て推計値)

・直近1年以内でのサイクルツーリズム経験者は18.2%。人数としては約1382万人。(前回比-2.1%/約-199万人)。

・サイクルツーリズムの国内マーケットは、推計値のため誤差はあるが、全体として年間約 1315億円である。(前回比+59億円)。
*1年以内の経験人数は減少しているが、消費総額は増加している。

・サイクルツーリズムで地域を訪れる際の予算は、1回あたり平均約3.7万円/人(前回比約+0.6万円)。前回と比較すると、「宿泊施設」以外は予算額が上昇。
*宿泊できない分、他の消費に回している可能性が考えられる。

・走った地域について、76%が「その地域をまた自転車で走りに来たい」と思っている。75%が「この地域のことを友人におすすめしたい」、72%が「自転車以外でまた観光しに来たい」と思っている。

・前回より「老後をここで暮らしたい」「この地域にセカンドハウスがほしい」という意向が上昇している。

・サイクリストのセグメンテーション分析では、「日常の移動手段層」が減少し、それ以外のセグメントは微増している。特に「サイクリングイベント層」の増加が顕著(設問を「スタンプラリーなどの期間型イベントを含む」とした影響もある)。
*もともと移動手段として利用していた層が、アウトドアアクティビティなど別の用途での自転車利用に流れている可能性も考えられる。

・コロナの影響で、ライトユーザー層のツーリズム行動に明暗が分かれたと考えられる。ツーリズム行動を控える人がいる一方、アクティべ―トされた人もいる。

・市場構成比率の高いライトユーザーの中で、積極的にサイクリングを嗜好する人がツーリズム消費額を増やしたことで市場を牽引したといえる。

・コロナ後の自転車利用意向は高いが、移動手段・健康目的が多い。レジャー用途としての意向も30%を超え、特に若年層では40%を超える。いかに、自転車を「余暇のツール」として提案していくかがポイント。

・直近1年以内にサイクルツーリズムを経験している人は、2018年よりも地域での体験の幅が広くなっている。コロナ後からサイクリングを開始した人は、「アクティビティ」や「地元ガイドによる観光」を多く行っている。

・1人での参加は減少していて、配偶者や子ども、父母といったファミリーでの参加が特に増えている。外出機会が減ったことによりアウトドアのアクティビティを求めて旅行・レジャーの手段としてやツーリングの用途で開始している。

・ただし「サイクリングイベント」「ツーリング」ともに2割程度は行動を控えている。特に「サイクリングイベント層」「レース層」はイベント参加を控えている割合が高い。

■調査概要
・調査目的:①サイクリング市場のボリューム把握 ②サイクリストの行動・マインドの変化の把握
・調査対象:マクロミルモニタ 15-74 歳の男女 + ツール・ド・ニッポン会員
・調査地域:全国
・調査方法:インターネットリサーチ
・調査時期:【事前調査】 2021年6月25日(金)~7月12日(月) 【本調査】 2021年7月1日(木)~7月12日(月)
・有効回答数:【事前調査】 10,000サンプル 【本調査】 1,035サンプル 【TDN会員】 2,642サンプル
・調査実施機関:株式会社マクロミル

●サイクリスト国勢調査の結果ページ