最新ガーミンは東京マラソンの自己ベスト更新だけでなく究極の健康増進が目指せる

GPSと光学式心拍計で測定した走行データを無償提供アプリで解析し、個人目標を達成するために必要なトレーニングメニューを提示してくれる「Garmin(ガーミン)コーチ」の進化が止まらない。東京マラソンに出場するシニア世代にとっては頼もしいパーソナルコーチになってくれる。

2年10カ月ぶりにコラムを書いたら浦島太郎状態だった

Garminデバイスの導入以来、バーチャル指導のトレーニングメニューに着目し、この部分にスポットを当てたものだけですでに4本のコラムで紹介しています。

63歳のマラソン挑戦は身体疲労などを数値で把握しながら進める必要がある

今回コラム執筆のきっかけは、8年間使い続けてきたGarminデバイスがついにダメになり、久しぶりに新たなGarminデバイスを購入したのですが、搭載機能に合わせてアプリも格段に進化していて、その使い勝手にびっくり。今回は最先端バーチャルコーチに関する、自分なりのレポートをお届けします。

ちなみに使用機材はランニングをメインアクティビティとするForerunnerシリーズのなかで、トップモデルForerunner 970ではなくて、セカンドグレードに落ちたForerunner 965を使用しています。

Garminコーチに目標の大会と目標のタイムを入力すると、1週間単位のメニューが提示される

東京マラソンで3時間30分を切るためのメニューが提示された!

2020年代はじめのGarminコーチは5km、10km、ハーフマラソンの距離のみの対応でした。3つの中から一つを選ぶと、次に3人の実在コーチが登場して、1週間あたりの練習に費やせる回数や全体の日数を考慮しながら好きなコーチを選ぶことができました。要するにフルマラソンは未対応でした。これ以外にもっと簡単なセルフガイドプランというものが用意されていましたが、汎用的で個人の実力に応じてメニューが組まれるわけではありませんでした。

東京マラソンに向けてのコンディショニングをパソコンでチェック。スマホアプリよりも細部の調整などができる

ところが現在のGarminコーチは10段階ほど進化しています。2026年3月1日に開催される距離42.2kmの東京マラソンで、3時間30分を切りたいという目標を設定すると、日々のメニューが提示されるようになったのです。東京マラソンのような著名レースなら検索で表示されますが、マイナーレースでも開催期日を入力すれば、それに応じたメニューを作成してくれます。

マラソンのトレーニング期間は16週間が目安となるので、大会当日からさかのぼってワークアウトをスタートさせるのがコツです。フルマラソンは4つのフェーズ(ベース、ビルド、ピーク、テーパリング)が設定され、レースに備えてコンディショニングする必要があるからです。

お気に入りのランニングギアを使うこともレベルアップを手伝ってくれる(はず)

ベース
2025年11月5日-12月15日
有酸素運動の向上とトレーニング距離の増加によってトレーニングの基礎を築きます。

ビルド
12月16日-2026年1月24日
有酸素能力を高めるためにワークアウトの強度を上げていきます。

ピーク
1月25日-2月19日
スピードを意識するワークアウトを含め、トレーニングの強度をさらに高めることが含まれます。

テーパリング
2月20日-2月28日
トレーニング量を減らしますが、強度は維持して、元気になり回復するのに役立ちます。

東京マラソン当日
3月1日

最新Garminコーチは筋トレもメニューに加えられた。それぞれの動作はデバイス画面にアニメで表示される

3つの指標をバランスよく強化して実力アップを目指せ!

トレーニングメニューは3つの指標を高めるためにプログラムされています。無酸素、高負荷有酸素、低負荷有酸素です。これらをバランスよく高めていくことで、ランニングのトータル実力を向上させる。文章ではちょっと難しく感じるかもしれませんが、アプリ画面ではどの要素が足らないか、あるいはどの要素がやりすぎかが表示されるので、デイリーのメニューがなにを目指しているのかを把握しながら効率的に取り組むことができます。

また最新コーチはコアスタビリティ(筋トレ)も週に一度ほどのメニューを提案しています。ランニングに必要な筋肉の強化を目指しているもので、とりわけ筋力が減少しがちなシニアランナーには有効です。ランニング大会の成績のみならず、健康なライフスタイルを楽しむためにかなり有効なアクティビティです。

最新のGarminコーチにもアプリの指定変更によって難点が発生しています。かつては1週間単位でトレーニングメニューが与えられると、仕事や所用などで「この日は走れない」というときがあれば、カレンダー上で自在にメニューを移動させることができました。ところがそれができなくなってしまいました。

しかたないので1週間のうち、トレーニングに当てる曜日を7日間全部にチェックを入れておいてみました。当然ながら休息日がなく7日連続でメニューが提示されます。かつては3日連続でアクティビティすると、「休息日を設定してください」というアテンションが表示されたのですが。

腕時計にAIスポーツドクターがいるかのような錯覚

ところがここで驚くべき進化に気づくことになります。仕方なしにトレーニングを継続しているうちにアプリ側での提案修正が行われるのです。例えば最新デバイスは睡眠によりどれだけ体力が回復したかが計測されます。体力がしっかり回復しているかをデバイス側で管理するのです。これにデイリーのアクティビティの強度などを総合的に分析して、「今日は回復を優先させるためにアクティビティはありません」などとトレーニングメニューを変えてくるのです。まさにスポーツドクターがそばにいてくれるような存在になったのです。

63歳のランナーが東京マラソンに挑戦するための具体的なトレーニングメニューを紹介しましょう。

東京マラソンで3時間30分を切るためには1kmを4分59秒で走る必要があります。それではどうやれば4分59秒ペースで42.2kmを走る実力がつくのか? Garminコーチメニューではベース、テンポ、スプリント、乳酸閾値の4タイプを組み合わせて提案してきました。

ベース
5分30秒ペースで有酸素トレーニング効果を求める。時間は40分(リカバリー時)から2時間超(長距離走)まで曜日によってメニュー付け

テンポ
4分40秒ペースで26分、5分の回復走をはさんでさらに26分

スプリント
2分45秒ペースで15秒。休憩時間をはさんで9セット。無酸素運動で筋肉の強化と走りのレベルを高めます。

乳酸閾値
4分20秒ペースで16分、5分の回復走をはさんでさらに16分。有酸素運動の上限をさらに引き上げる効果

これ以上速く走ると無酸素状態になってしまう限界の乳酸閾値をペースと心拍数で把握する

実際にメニューをこなしてみると、乳酸閾値の4分20秒やテンポの4分40秒はとても苦しいです。でもこのスピードを目指してなんとか走ってみると、クールダウンの5分30秒ペースがとても遅く感じるようになります。試しにターゲットの4分59秒で走ってみると、ある程度の長い距離は走れるような気がしてきます。こうして早くなっていくのかなあと、いまさらながらに気づくのでした。

高齢者は筋肉量が低下して体重減にならないように注意
AdidasアプリにもGarminで取得したデータを同期させる。走った距離によってポイントがゲットできて商品クーポンがもらえるのだ
Garminアプリと体脂肪計を連動させてさらに身体を気遣う

距離ごとの予測タイムが掛け値なしになった!

ランニングの実力を把握する指標として用いられるのはVO2 Max(最大酸素摂取量)というものです。厳密には研究施設や体育大学などのラボで呼気ガス分析装置を用いて計測するものですが、なんとGarminデバイスでは手首につけた装置だけで簡易的に測定することが可能です。一般レベルではこれで十分ではないかと思います。

疲労で故障しないように用心しながらトレーニングしていけば、VO2 Maxは面白いように向上していく

それでも一般的にはVO2 Maxが1つ上がったと一喜一憂するだけで、それほど実力アップの成果が確認できません。そこで確実な目安となるのがGarminの距離別予測タイムです。これまでも5km、10km、ハーフ、フルマラソンの予測タイムが表示されましたが、「そこまで忖度するか!」というほど楽観的なタイムが表示され、「実際にはこれにプラス10%かな」という非現実的なもの。ところが現在は極めて現実的になりました。

メニューをこなしていくと予測タイムが徐々によくなっていくのがうれしい

新機種では現在の持ちタイムとほぼ同じ。レースに向けて調整中のフルマラソンの予測タイムはメニューをこなしていくうちにじわじわとタイムがよくなっていき、トレーニングの成果が実感できます。レースに向けてのモチベーション向上、そして究極のターゲットである健康維持や増進。数万円の腕時計で楽しいライフスタイルが構築できる時代になったのです。

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