マーク・カベンディッシュがアスタナ・カザクスタンに移籍

マーク・カベンディッシュ(英国)が2023シーズンはアスタナ・カザクスタンで走ることが発表された。2022年を最後にクイックステップ・アルファビニルから離れることになり、2011年の世界チャンピオンで、37歳になった同選手の去就が注目されていた。

マーク・カベンディッシュのアスタナ・カザクスタンジャージは英国チャンピオンデザインだ ©Astana Qazaqstan Team

自転車に乗る喜びと勝ち続けることへの渇望は変わらない

「この冒険に本当に興奮している。チームのアレクサンドル・ビノクロフGMと長年レースをしていたが、今では彼の2人の男の子とレースをしている。彼らが私と同じ年齢の子供だったとき、自転車レーサーになることを夢見ていたのを覚えている。アスタナ・カザクスタンチームは、バイクのチャンピオンであり、バイクの紳士であるアレクサンドルが率いる強力なチームで、成功するのに最適な場所になる」とカベンディッシュ。

アスタナ・カザクスタンチーム。集合写真の撮影時にマーク・カベンディッシュはまだ合流していない ©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2022

「すでに長いキャリアを楽しんでいるが、自転車に乗る喜びと勝ち続けることへの渇望は相変わらずだ。だから、チームと一緒に勝利のために働くこと、最初にフィニッシュラインを越えること、チームメイトを応援することなど、成功するチームの一員になることを楽しみにしている。いつものように、目標はトップの表彰台に立つこと」

ウィリエールバイク。コンポーネントはシマノを採用 ©Ivan Benedetto/SprintCyclingAgency©2022

アスタナ・カザクスタンに異例のスプリンター参入

「まあ、マーク・カベンディッシュはプレゼンテーションを必要としない。彼は史上最高のスプリンターであり、アスタナ・カザクスタンチームに迎えることができてうれしいです」と、チームを運営するアレクサンドル・ビノクロフ。

アレクサンドル・ビノクロフ ©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2022

「チームにトップスプリンターが加入することは一種の挑戦だが、その準備はできている。新しい方法と新しい可能性を見出している。それでも目標は同じ。あらゆる種類のレースでの勝利だ。クラシック、さまざまなステージレースの区間優勝、そしてもちろんグランツールでの勝利。マークはまだ勝ちたいという大きな願望を持っていて、チームはあらゆるタイプのレースで全力でこの気持ちをサポートする」

アスタナ・カザクスタンが2023年に使用するウィリエールのタイムトライアルバイク ©Dario Belingheri/Getty Images
アスタナが採用したイタリアのウィリエールバイク ©Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2022

ヤコブ・フルサンがイル・ロンバルディアで独走優勝

アスタナヤコブ・フルサン(デンマーク)が8月15日にイタリアのベルガモ〜コモ間の231kmで行われた第114回イル・ロンバルディアで独走勝利した。終盤にユンボ・ビズマのジョージ・ベネット(ニュージーランド)と抜け出し、突き放した。3位はアスタナのアレクサンドル・ウラソフ(ロシア)。

フルサンがイル・ロンバルディア優勝 ©LaPresse – Marco Alpozzi
マスク着用で表彰台に上ったフルサン ©LaPresse – Marco Alpozzi

「とても暑い1日だったので、もう全力で走った。調子がよかったが、3日前のグランピエモンテで優勝しているベネットも同じであることは分かっていた。ラッキーなことにボクにはチームメートのウラソフがいた。彼は今日のチャンピオンのように強かった」とフルサン。

ベルガモからコモ湖までの231kmで争われた ©LaPresse – Fabio Ferrari

「ベネットとのゴールスプリントを想定していたが、サンフェルモの丘でアタックを試した。後ろをふり向いたら独走していることが分かったので、フィニッシュラインまで全力で走った」

サイクリストを祀ったマドンナデルギザロ教会を通過 ©LaPresse – Fabio Ferrari
晩秋ではなく、盛夏のロンバルディア地方を行く ©LaPresse – Fabio Ferrari
ヤコブ・フルサン(左)とジョージ・ベネットが最終アタック ©LaPresse – Fabio Ferrari
観客もまばらなイル・ロンバルディアのゴール地点 ©LaPresse – Fabio Ferrari

●イル・ロンバルディアのホームページ

アスタナが初開催のジロ・デ・イタリアバーチャル総合優勝

カザフスタンのアスタナが初めて開催されたジロ・デ・イタリアバーチャルで総合優勝した。全7ステージを終えたアスタナは、ステージ勝利2回、2位と3位が3回という成績で、2位に49分57分差をつけた。初日に獲得したマリアローザを最終日まで守った。

アスタナがジロ・デ・イタリアバーチャルで優勝

4月18日から5月9日まで、毎週水曜日と土曜日に選手たちは自宅でマリアローザのためにオンライン上で対戦した。設定された7ステージは、リアルのジロ・デ・イタリア各ステージの最終部分だった。

©Astana Pro Team

「たとえそれが仮想的なものであったとしても、ボクたちは総合優勝に本当に満足している。チームは初日にマリアローザを手に入れ、最後までそれを保持することができた、それは素晴らしい」とヤコブ・フルサン。

「もちろん、道路を走るジロ・デ・イタリアとは全く違う。ステージは短かったかもしれないが、超強烈だったので、素晴らしいトレーニングになった。今後のトレーニングスケジュールにそれを含めたが、やっぱり道路の上でレースがしたい。しかし、厳しいトレーニングに耐え、困難な時代にチームを支えてくれるスタッフやスポンサーを見る絶好の機会だった。チームとして一緒に働き、WhatsApp(欧州版LINE)でチームメイトやコーチのサポートを受け、お互いにモチベーションを上げ合った」

「全体として素晴らしい経験だったし、組織は素晴らしい仕事をしたし、ボクたちはメインパートナーであるSamruk-Kazynaを世界中の私たちのファンに知らせることができた」

イタリアナショナルチームのフィリッポ・ガンナが最終日のトップタイム。写真はトラック世界選手権のもの。©Davy Rietbergen/CV/BettiniPhoto

「ジロバーチャルで優勝できたのはいいことだ。それは仮想レースだったかもしれないが、それにもかかわらず、簡単なレースではなかった。ステージは短いが強烈だった。私たちのライダーは全力を尽くし、私たちはみな一緒に働き、参加することを真剣に受け止めた」とチームマネージャーのドミトリー・フォフォノフ。

「バーチャルレースはスポンサーを見せる絶好の機会であり、ライダーはレース感覚のようなものを持っていた。また、ジロ・デ・イタリア主催者も素晴らしいレース運営をしてくれた。組織は完璧だった」

ピンクレースを制したトレック・セガフレード

女子のピンクレースはトレック・セガフレードが初日からトップに立ち、最終日まで一度も首位を譲ることなく総合優勝した。

●Garminバーチャルライドのホームページ

🇮🇹ジロ・デ・イタリアバーチャル / 延期された2020ジロ・デ・イタリア特集サイト

アスタナがジロ・デ・イタリアバーチャル第1S優勝…19日はレジェンド参戦

全7ステージで争うジロ・デ・イタリアバーチャルは4月18日、出場選手それぞれの自宅をオンラインで統合して距離32.1kmの第1ステージを行い、アスタナプロチームが優勝した。アスタナのアレクセイ・ルツェンコが個人最速タイムとなる44分41秒を出し、チームメートのダビデ・マルティネッリの記録と合わせて1時間35分04秒でバーチャルフィニッシュ。マリアローザを獲得した。

カザフスタンナショナルジャージを着るアレクセイ・ルツェンコ。イベント協賛メーカーのタックスを使用する

アスタナチームは、エリア・ビビアーニとU23選手のサムエーレ・ゾッカラートで構成されたイタリアナショナルチームに6分46秒差、フレッド・ライトとグレガ・ボーレのバーレーン・マクラーレンに9分40秒差をつけて首位に立った。プロカテゴリーはステージごとに選手が替わるため、個人総合成績ではなくチーム総合成績でマリアローザを争う。

ピンクレースはトレック・セガフレードが首位に

Garminエッジを見ながらダンシングするトレック・セガフレードのリジー・デイニャン

女子のピンクレースでは、1時間01分02秒の最速タイムを出したエリサ・ロンゴボルギーニとリジー・デイニャンのトレック・セガフレードが合計タイム2時間10分04秒でトップに。マリアジュリア・コンファルニエーリのアリアナ・フィダンツァからなるイタリアナショナルチームは4分18秒遅れ、モビスターは11分03秒遅れで3位。

欧州チャンピオンジャージでペダルをこぐエリア・ビビアーニ

イタリア代表として参加した欧州ロードチャンピオンのエリア・ビビアーニは、「このイベントは本当に素晴らしいと思う。苦難の時代にサイクリングというスポーツがイタリア赤十字社のために資金を集めながら、ファンになにかを返す新しい方法を見つけたからだ」と語っている。「アスリートとして私は参加して幸せだ。本当に実際のレースのように感じる上り坂で、正確なシミュレーションでペダルを踏んでいる選手にとっては本当の意味でチャレンジだ。いい経験なのでみんなにオススメしたい」


困難な時代にスポーツは真っ向から勝負を挑む

イタリア自転車競技連盟のレナート・ディロッコ会長は、「サイクリングがますます多くの人々にとってインスピレーションと活力の源になるのを見て大きな満足感を覚えた」と語った。

「私たちが直面しているこの困難な時代に、スポーツは多くの課題に立ち向かい続け、真っ向から勝負を挑んでいる。ジロ・デ・イタリアバーチャルもこの一例だ。ラ・ガゼッタデッロスポルトとRCSスポルトがバーチャルミラノ〜サンレモの成功を収めた後に立ち上がり、サイクリングコミュニティの新たな精神を具現化した。私たちはそれを誇りに思うべきだ」

今回のバーチャルレースにイタリア代表は男子、女子、23歳未満を派遣した。イタリアにとどまらず、世界中で行われているすべてのスポーツの中に存在するコミュニティを示したものだ。

「選手、スタッフ、ファン、私たちは今まで以上に一つのチームだ。チームとして私たちは成功する。ジロ・デ・イタリアが再びイタリア半島を縦横無尽に駆けめぐり、最高のシーンを示す日を楽しみにしている」

トレック・セガフレードのエリサ・ロンゴボルギーニ。スマートトレーナーはチーム契約「サリス」の前ブランド名「サイクルオプス」

バーチャルだけどテイストはコルサローザと同じだ

ジロ・デ・イタリアのマウロ・ベーニ統括ディレクターは「私たちの最愛のレースがイタリアの道路上に戻る日を待っている間、ジロ・デ・イタリアバーチャルが選手とファンの両方にとって魅力的な経験になると思った」とコメントしている。

「異なる特性を持つ選手を満足させるために7つのステージを選択した。このイベントには、トルトレートでの第10ステージのフィニッシュ、ノベコリのアップダウンの多いルート、マドンナ・ディ・カンピリオとラスト30kmで1000m以上の獲得標高となるセストリエーレ、ミラノでの15.7km個人タイムトライアルなど多様な課題がある。コルサローザ(ジロ・デ・イタリアの愛称)の本当のテイストが味わえる」

●Garminバーチャルライドのホームページ

🇮🇹ジロ・デ・イタリアバーチャル / 延期された2020ジロ・デ・イタリア特集サイト

アスタナが15日間のレース撤退…新型コロナウイルス懸念のため

カザフスタンのアスタナプロチームはCOVID-19ウイルスのためにレースから一時的に撤退すると3月5日に発表した。チームは3月20日までどの競技にも参加しない。この決定は、チームの経営陣とその医師によって慎重に検討した結果だとした。

2019ブエルタ・ア・エスパーニャのアスタナチーム ©Photogómez Sport

「この措置により、我々は選手とスタッフの健康を守り、さらに新型コロナウイルスをさせないという社会に対する責任を負うことを選択した」とゼネラルマネージャーのアレクサンドル・ビノクロフ。

「もちろん、これからのレースに参加したかったが、今のところは安全第一。他の多くの重要なレースはまだ長いシーズンの先にある。簡単な決断ではなかったが、私たちはサイクリングファミリーと自分の家族を守らなければならない」

この決定により、アスタナプロチームは、ストラーデビアンケ、パリ〜ニース、ティレーノ〜アドリアティコに参加しない。

有力チームが相次いでレース活動停止

自転車レース界でも、ストラーデビアンケ(3月7日)、ティレーノ〜アドリアティコ(3月11〜17日)、ミラノ〜サンレモ(3月21日)が開催されるイタリアで新型コロナウイルスが流行していることが大問題となっている。

オランダのユンボ・ビスマが自国外務省からの勧告を受けてイタリアで開催されるレースを回避。ミッチェルトン・スコットも新型コロナウイルス対策として男女ともにレース出場を取りやめた。英国のイネオスはニコラ・ポルタル監督が心臓発作で死去したこともあって当面のレース出場を見送った。

さらにフランスのグルパマFDJは参加スタッフが観戦したUAEツアーで選手やスタッフが現在も検疫隔離措置を受けていることから、選手やスタッフがそろわないとしてイタリアで開催されるレースを見送った。

●アスタナのホームページ

ヤコブ・フルサンがブエルタ・ア・アンダルシア2連覇

アスタナヤコブ・フルサン(デンマーク)が第66回ブエルタ・ア・アンダルシアで総合優勝した。かつてルータ・デル・ソルと呼ばれていたスペインのステージレースは2月19日から23日まで開催され、フルサンが最終日の個人タイムトライアルで逃げ切った。

ブエルタ・ア・アンダルシア総合優勝のヤコブ・フルサンを中央に左が2位ジャック・ヘイグ、右が3位ミケル・ランダ ©David Ramos/Getty Images

ブエルタ・ア・アンダルシアは最終日の23日、ミハスで短いタイムトライアルが行われた。フルサンは、ステージ優勝者となるバーレーン・マクラーレンのディラン・トゥーンス(ベルギー)と同タイム。記録としては切り捨てられるコンマ以下の差で2位となったが、初日から総合トップを一度も譲らず5日間のレースを終えた。アスタナチームに今シーズン初の総合優勝をもたらした。

フルサンはこの日、15時20分にの最後のライダーとしてスタート。力強いパフォーマンスを見せた。中間チェックポイントで2番目にいいタイムを記録し、17分57秒のタイムでフィニッシュ。トゥーンスにわずか0.8秒遅れた。この大会で2度のステージ優勝を果たしたフルサンは、2年連続で優勝した。

「いいタイムトライアルだった。2年連続で総合優勝できたことを本当にうれしく思う。このレースに再び勝ってシーズンを始めるのは驚くべきこと。昨年はこれまでのキャリアで最高のシーズンを過ごしたし、再びそんなシーズンを繰り返すことを願っている」とフルサン。

「非常に難しいレースだったし、初日からジャージを守るために多くのハードな場面があったが、チームは素晴らしかった。勝者は私だが、チームもそうだ。私にとってはジャージを維持することが重要だったが、短くて強烈なタイムトライアルで逆転負けしたくなかったのでので、今は本当に幸せだ。いいシーズンになると思うし、いい結果でこういうスタートを切れたことで、自信を持って次の目標に向けて取り組むことができる」

●ブエルタ・ア・アンダルシアのホームページ