キナンの雨乞竜己が2019年シーズンを最後に引退

KINAN Cycling Teamの雨乞竜己(27)が2019年シーズンを最後に選手としてのキャリアに終止符を打つことになった。

キナンの雨乞竜己

雨乞は2017年にKINAN Cycling Teamに加入。同年3月の宇都宮クリテリウムで2位とセンセーショナルなチームデビューを飾って以降、持ち前のスピードと勝負勘でエーススプリンターとして確たる地位を築いた。また、同年10月のジャパンカップクリテリウムでは、並みいる世界の強豪との激闘の末に4位入賞。日本のみならず、世界にもその走りをアピールした。

平地系レースでのスプリントにとどまらず、山岳系のレースではアシストとしても機能。2017年のツール・ド・北海道やツール・ド・おきなわ、2018年のシャールジャ・ツアーなどでは、チームの上位進出に大きく貢献し、オールラウンドに実力を発揮してきた。

2018-2019シーズンからは、シクロクロスにも本格参戦。愛知・岐阜両県をメインに転戦する東海シクロクロスシリーズでは、ホストライダーの1人としてレースを盛り上げてきた。

2019年シーズンは終盤に差しかかっているが、10月20日開催のジャパンカップサイクルロードレースが雨乞にとって最後のUCI公認の国際ロードレース出場予定。その後、年内は各種イベント出席など、これまで通りチーム活動に従事するとともに、シクロクロスにも数戦出場する予定となっている。

雨乞竜己

雨乞竜己の引退のあいさつ
KINAN cycling teamに所属し、早3年の月日が流れました。
この度、本年度をもちましてプロとしてのキャリアを終えることとなりました。
自転車に出会い、約10年。駆け足で進んできました。
どれもかけがえのない日々でしたが、特にヨーロッパでの3年、KINANでの3年、この6年間は非日常な日常で、仲間とともに多くの喜怒哀楽を味わいました。
スプリントに掛けた走りで、昨年は多くのアジアツアーに参戦させていただき、一流スプリンターらとの戦いの中で初めて満足いく形でスプリントに挑むことができました。自分の中でさまざまな精神的な葛藤があったので、何かを成し遂げた訳ではないのにフッと張り詰めていたものが解かれ妙な感覚を覚えました。同時に恐怖心も芽生え、そこが分岐点だったのかもしれません。
思ったことをカタチにできると信じることで、イマの自分が創り上げられました。信じ突き進んでいくことで、偶然か必然か、自分の元へヒトまでをも導いてくれることを競技生活を通して、私は学びました。
なので、引退しても自分のライフワークから自転車がなくなることはありません!
これからもLOVE CYCLEです。最後に、今まで関わってくださった多くの方々、チームメイト、スタッフ、ファンのみなさまに感謝申し上げます。

●キナンサイクリングのホームページ

キナンがシーズンエンドパーティーで参加者募集開始

キナンが12月15日にチーム本拠の1つである名古屋市でシーズンエンドパーティーを開催することになり、一般参加者の募集を開始した。

チームは発足5年目の2019年も、国内外でのレース活動、国内各地でのイベント参加などで多くの成果を挙げることができ、これはどんなときでも全力で応援しているファンの支えあってのものだと考えているという。

パーティーでは今シーズンの活動報告のほか、来シーズンの所属選手の正式発表を行う。さらには、ファンや関係者とチームメンバーとの交流会、お楽しみ抽選会といったアクティビティも企画中。

キナン2019シーズンエンドパーティー
【日時】2019年12月15日(日)18:30~21:30 
【会場】REGOLITH(愛知県名古屋市西区牛島町6-1 名古屋ルーセントタワー1F) 
【KINAN Cycling Team参加メンバー】
・2019年シーズン所属選手
・2020年シーズン所属選手
・チームスタッフ 
【会費(一般参加の場合)】7000円(税込) 
【定員】
・一般40名
・スポンサー・サプライヤー企業
・その他関係者40名 
【パーティー内容(予定)】
・2019年シーズン活動報告
・2020年シーズン所属選手の発表
・ファンおよび関係者のみなさまとの交流会
・お楽しみ抽選会
【パーティー飲食内容】
・立食でのビュッフェ形式、ドリンク飲み放題(アルコール提供あり)

【申込方法】
専用ウェブサイト(スポーツエントリー)から申し込み
※同日開催の「ヴェロフェスタ2019 in モリコロパーク with KINAN Cycling Team」の種目別エントリーと同ページになっています。申し込みの際は種目選択から「2019シーズンエンドパーティー」を選択
●エントリー専用ウェブサイト

トマ・ルバがバニュワンギ最終Sで優勝…山岳賞も獲得

インドネシア・ジャワ島東部で行われてきたインターナショナル・ツール・ド・バニュワンギ・イジェン(UCIアジアツアー2.2)は、9月28日に行われた第4ステージをもって閉幕。KINAN Cycling Teamは、今大会のハイライトとなった超級山岳イジェン山でトマ・ルバが他を圧倒する走り。貫録のステージ優勝に加えて、個人総合4位と山岳賞を獲得し、上々の形で大会を終えた。

インターナショナル・ツール・ド・バニュワンギ・イジェン第4ステージで優勝したトマ・ルバ ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日までの3ステージを終えて、マルコス・ガルシアがチーム最上位となる個人総合6位。トップとの総合タイム差は57秒とし、上位戦線での走りを続けてきた。また、山岳賞でも初日から首位をキープ。チーム総合では2位につけ、個人・チームともに総合力のアピールを続ける。

そして最終日。129.9kmで競う第4ステージですべてが決する。スタート以降中盤過ぎまでは平坦が続くが、フィニッシュまで残り30kmを切って山岳地帯へと入っていく。4級、3級とそれぞれカテゴリー山岳を通過しながら、登坂を続けていく。いよいよ迎えるのは、超級山岳イジェン山。上り始めから10%を越す急勾配が続き、路面の粗さも相まって選手たちの行く手を阻む。さらには、中腹で驚異の最大勾配28%。頂上にフィニッシュラインが設定され、この上りを終えた時点で、今大会の総合成績が確定する。

イジェンの上りが総合争いの大きく関係してくることは必至。KINAN Cycling Teamは難攻不落のクイーンステージへ臨むにあたり、改めてマルコスを軸に戦うことを確認。山本元喜、椿大志の組み立てから、山岳ではサルバドール・グアルディオラ、トマ・ルバがライバルに対してプレッシャーをかけ、ここぞという局面でマルコスを前方へと送り出す構えだ。

そうして始まったレースは、スタートして早々に9人の逃げが決まる。いずれも総合成績に関係しない選手たちの動きとあり、メイン集団は完全に容認。リーダーチームのチーム サプラサイクリングが集団をコントロールし、レースは淡々と進行。半ばを迎える頃にはタイム差は6分近くにまで開くが、その後は山岳に向けて集団は少しずつギャップを縮めていった。

この間、KINAN勢は集団に待機。来る山岳区間に向けて、好位置を押さえながら勝負どころを待った。

レースが100kmを過ぎたあたりから、いよいよ山岳地帯へ。しばし先頭を走った9選手だったが、登坂力の差が明白となり、やがて逃げの態勢が崩壊。この日1つ目の山岳である4級のジャンベサリを上りきる頃には、先頭には3人だけが残る情勢となった。

一方、メイン集団ではジャンベサリまではチーム サプラサイクリングがコントロールしたが、続く3級のカリベンドに入ってついにKINAN勢が前方へ。山本、椿の順でペースアップを図ると、先頭との差はあっという間に縮まっていった。そして、カリベンドを終える頃には逃げメンバーは全員吸収。最後の最後に待つ超級のイジェン山に向けて、舞台は整った。

それからも依然KINAN勢によるコントロールが続く。サルバドールが上りのペーシングをさらに強めて人数を絞り込んでいくと、イジェン山の上り口からはトマが集団先頭へ。これが大きな決定打となって、前方にはトマとマルコスを含む6人だけが生き残る格好に。

トマによる猛烈なプッシュはその後も続き、ライバルたちを1人、また1人と振り落としていくが、マルコスも遅れ始めてしまう。この時点で総合を争うライバルたちの動向やチーム状況から、トマによるステージ狙いへプランを変更。選手同士で確認し合った戦術の中から、ここで“プランB”を発動することになった。

すでに数度イジェン山を経験しているトマの走りは、最大勾配28%となる中腹でも他を圧倒。勾配がわずかに緩やかになる最終盤もテンポで上り切り、ライバルたちに対してその背中を見せることなく頂上へとやってきた。

イジェン山を完全に征服したトマは、余裕の表情でフィニッシュへ。2位には49秒差をつけ、まさに貫録勝ちの言葉がピッタリの完勝だった。

トマのフィニッシュから6分50秒後、個人総合での上位進出をかけて走ったマルコスがやってきた。総合成績を競っていた選手たちに先着を許す結果になったが、ステージ16位とまとめた。その後、椿が28位、サルバドールは47位、山本は62位と、献身的な走りを見せた選手たちもしっかりと頂上到達を果たしている。

この日のステージ結果によって、注目された総合成績は大幅にシャッフル。ステージ優勝のトマは、順位を大幅にジャンプアップさせて個人総合4位へ。惜しくも総合表彰台は逃したが、大会最終日に猛烈な追い上げを見せた。さらに、大会を通じて上位戦線で走ったマルコスは同10位を確保。2選手をトップ10に送り込むことに成功し、UCIポイントではステージ優勝分も合わせて30点を獲得した。

また、唯一の超級山岳であったイジェン山をトップで上ったトマは、山岳ポイントを一気に稼ぎ出し、マルコスから山岳賞のポルカドットジャージを引き継いで今大会のナンバー1クライマーの称号を手に。さらに、チーム総合でも3位に食い込み、メンバー全員でポディウムへと登壇している。

チームはこれで、おおよそ2週間にわたるインドネシア遠征を終了。出場した2レースともに好成績を残し、これまで以上にアジアでのハードな戦いに自信を深めている。シーズンは終盤へと差し掛かっているが、引き続きアジア圏をメインとしたレース活動を継続。今後のレーススケジュールについては、近日中に発表ができる見通しとなっている。

インターナショナル・ツール・ド・バニュワンギ・イジェン第4ステージ(129.9km)結果
1 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 3時間47分51秒
2 アミール・コラドウズ(イラン、タイユアンミオジェサイクリング) +49秒
3 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +59秒
4 イェシードアルトゥーロ・シエラ(コロンビア、チャンユードホテルサイクリングチーム) +1分1秒
5 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、チーム サプラサイクリング) +1分54秒
6 ダミアン・モニエ(フランス、愛三工業レーシングチーム) 
16 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +6分50秒
28 椿大志(KINAN Cycling Team) +10分41秒
47 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +17分28秒
62 山本元喜(KINAN Cycling Team) +23分11秒

個人総合
1 ロビー・ハッカー(オーストラリア、チームUKYO) 13時間5分23秒
2 マイケル・ヴィンク(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) +16秒
3 ジェシー・イワート(オーストラリア、チーム サプラサイクリング) +1分53秒
4 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +2分23秒
5 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +2分40秒
6 イェシードアルトゥーロ・シエラ(コロンビア、チャンユードホテルサイクリングチーム) +3分30秒
10 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +4分56秒
25 椿大志(KINAN Cycling Team) +14分48秒
35 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +19分6秒
62 山本元喜(KINAN Cycling Team) +34分9秒

ポイント賞
1 コルビン・ストロング(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) 29pts
16 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 10pts
24 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 4pts

山岳賞
1 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 25pts
7 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 8pts
21 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) 1pts

チーム総合
1 チーム サプラサイクリング 39時間24分25秒
3 KINAN Cycling Team +11分33秒

トマ・ルバのコメント
「残り10kmを切ったところから、チームは本格的に集団のペースを上げた。(山本)元喜と(椿)大志が本当に強くて、さらにはサルバが集団の人数を減らしてくれた。次が私の役割だったが、調子が良かった私の一方で、マルコスがベストではなかった。彼がゴーサインを出したので、ステージ狙いに切り替えて勝負に出た。トップで上り切れば山岳賞を獲得できることも計算できていたし、何よりステージ優勝できたことがよかった。

正直言うと、今日の上り(イジェン山)のタイムは先月同じコースを走ったツール・ド・インドネシアの時より1~2分遅れている。(今大会前には移動トラブルがあったが)そんな中でも目の前のレースに集中することが必要だし、今日のステージ優勝が成果になったと思う。まずは休みたいね(笑)

シーズンは終盤だけど、この先のレースも楽しみ。しっかりリカバリーして、その後のトレーニングでコンディションを整えていきたい」

インドネシアの自転車レースは大気汚染深刻で区間中止

インドネシアのスマトラ島で開催されているツール・ド・シアク(UCIアジアツアー2.2)は9月21日の第3ステージがスタート後に大気汚染悪化で中止された。日本のKINANが参戦中で、最終日となる第4ステージは22日に行われる予定。

ツール・ド・シアク第3ステージでマスクを着用してスタートを待つ選手たち ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日までの2ステージとは変わって、現地時間の午前にレースのスタートが切られたが、発生したスモッグの濃度が高まったため、序盤の時点でキャンセルが決定。総合成績は第2ステージ終了時点のものが維持され、KINANは山本元喜が個人総合5位、サルバドール・グアルディオラが6位、チーム総合1位のまま最終の第4ステージへと移ることになった。

大会は後半戦へ突入。ここまでの戦いは、第1ステージで上位フィニッシュを果たした山本とグアルディオラが個人総合上位をキープ。チーム総合でも首位に立っていて、ここまで2ステージを攻撃的に戦っていることを順位でも示してきた。

迎える第3ステージは、当初大周回を2周する170.6kmが予定されていたが、開幕時から懸念される大気汚染の状況を考慮し1周に短縮。レース距離は85.5kmとなった。また、この日からレース時間を午前へと変更。少しでもよい環境でレースができるよう、出場選手・チームの意見を照らし合わせながら、主催者が柔軟な対応を見せた。

しかし、この日は早朝から濃度の高いスモッグが開催地一帯を覆う状況。スタートに向けて、選手・スタッフ・関係者がそれぞれに準備を進め、いったんはレース開始となったが、20km地点を迎えようかというタイミングでコミッセール判断によりキャンセルが通告された。それまで、KINAN勢は再三のアタックでライバルチームの消耗を誘い、よい流れを作り出していたが、無念の中止となった。

これを受け、総合成績は前日行われた第2ステージ終了時点のものが反映され、山本、グアルディオラがそれぞれ個人総合5位と6位のまま。チーム総合トップもキープして、続くステージへと進む。

大気汚染の状況に左右されながらも進行する大会は、翌22日に行う第4ステージでフィナーレを迎える。最後を飾るのは、大会の拠点都市であるシアクの市街地でのサーキットレース。17.9kmのコースをおおよそ8周回する133.5kmで競う予定となっている。最終的には、今後のスモッグ発生状況を勘案しながらレース開始時刻や距離について決定がなされるものとみられる。

自転車競技の新時代、バンクリーグが名古屋で開幕

令和うまれの新スポーツ「バンクリーグ」の初戦、Round 1が8月23日に愛知県の名古屋競輪場で行われた。KINAN Cycling Teamからは椿大志、大久保陣、山本大喜、福田真平、中島康晴、荒井佑太が出場。予選ラウンドを1勝1敗とし、決勝ラウンドへの進出を逃したものの、チームとして次戦への改善点が見つかるレースとなった。

バンクリーグ2019 Round 1・名古屋 ©︎KINAN Cycling Team / Midori SHIMIZU

構想から数年、ついにバンクリーグの船出の時がやってきた。加藤康則ゼネラルマネージャーを発起人に始まったプロジェクトは、複数回のテスト走行を経て、2018年にプレイベントとして「トラックフェスティバル」を宇都宮競輪場で実施。それらの結果を踏まえて、バンクリーグのスタートに向け急ピッチで準備を進めてきた。

レース形式はバンクリーグオリジナルの「3ポイントゲーム」。このイベントは競輪場のバンクを使用し、4選手ずつで編成される2チームが出走し、3周目以降の奇数周の入りを先頭通過したチームに1ポイントが与えられる。3ポイントを先取したチームが勝利となる。ルールはシンプルで、チーム力や戦術を短時間で楽しむことができるあたりが大きな魅力だ。今節は6チームが参加し、3チームずつA・Bの2グループに分けて、総当たりの予選ラウンド実施。各グループ1位が決勝ラウンドに勝ち上がる。

晴れの第1回開催の会場となった名古屋競輪場には、遠方からの観客も多数駆けつけ、イベント開始前から大きな盛り上がり。レースに先立って行われた一般走行イベントでは、バンクリーグ参加選手が一般参加者とともに走行。角度のある走路に及び腰の参加者も見られたが、選手たちの誘いに笑顔を浮かべ、並走をするうちに徐々にバンク走行のコツをつかんでいった様子だった。

開会式では発起人の加藤康則GMがあいさつ ©︎KINAN Cycling Team / Midori SHIMIZU

そして迎えたイベントのオープニング。開会式では発起人の加藤GMが挨拶に立ち、開催への感謝を述べた。予選グループの組み合わせ抽選には、チームを代表して荒井が臨み、愛三工業レーシングチームとシマノレーシングと戦うことが決まった。

愛三工業レーシングチームとの対戦となった予選ラウンド第1戦。椿、山本、福田、荒井のオーダーでの出走。数日前から意見を出し合って練り上げた作戦通りにレースを進行させ、現役競輪選手でもある福田、スプリンターの荒井を中心に危なげなく勝利をおさめた。

予選ラウンド第1戦は愛三工業対キナン ©︎KINAN Cycling Team / Midori SHIMIZU

シマノレーシングとの対戦となった第2戦。愛三工業レーシングチーム戦からメンバーを入れ替え、椿、大久保、中島、荒井の布陣で挑んだ。トラック競技を専門にする選手を擁した相手のスピードに負けじと迫ったが、力及ばず3-0のストレートで敗戦となった。

これにより決勝進出は逃したが、レースを終えた選手たちはVIP席へと出向いてファンサービス。シマノレーシングとマトリックスパワータグの対戦となった決勝を、観客とともに観戦した。VIP席は走路内側のフィールド部分で観戦を楽しめるもので、選手入退場時のハイタッチや、レースの息づかいが感じられる距離感が魅力。事前発売で完売となった。ロードレースとは異なる景色のナイターイベントに、ファンは選手と写真を撮ったり、シーズン後半のレース展望について話をしたりと、普段では得られないスペシャルな時間を楽しんでいた。

レースを終えた選手たちは観客席へと出向いてファンサービス ©︎KINAN Cycling Team / Midori SHIMIZU

レース後の閉会式では、バンクリーグをよりよいものにしていくために常にブラッシュアップしていくと話した加藤GM。選手からも、対戦相手の特性に合わせた戦略など作戦の幅を広げ、レースを重ねるごとによりアグレッシブな戦いが展開されるのではないかという声が聞こえてきた。

華やかな船出となったバンクリーグ。Round 2は8月30日、三重県・松阪競輪場で開催される。(Text:清水翠、Edit:福光俊介)

●キナンサイクリングのホームページ

トマ・ルバがツール・ド・インドネシア総合優勝&山岳王

インドネシアのステージレース「ツール・ド・インドネシア」は8月23日に最終日を迎え、前日に総合首位に浮上したキナンのトマ・ルバがリードを守り切り、個人総合優勝を達成。2019年大会の王者に輝き、レースリーダーの証であるグリーンジャージを獲得した。この日行われた第5ステージの途中では一時逃げグループに大差を許す展開となったが、最後はチーム力を持って局面を打開した。

2つのリーダージャージを獲得したキナンチーム ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

今大会最難関のクイーンステージと目された前日の第4ステージでKINAN Cycling Teamは、トマがステージ2位。優勝こそ譲ったものの、アジアの名峰イジェン山の上りで実力を発揮。個人総合争いのライバルたちを引き離すことに成功し、グリーンジャージを獲得した。第2ステージ以降守っている山岳賞も盤石の態勢で、2冠をかけて最後のステージに挑むことになった。また、マルコス・ガルシアがステージ4位、サルバドール・グアルディオラも9位と続いたほか、献身的なアシストを見せた山本元喜も粘って20位でフィニッシュ。個人総合で10位と好位置につける。

そして、8月19日から展開されてきた戦いは、いよいよこの日のステージで最後となった。第5ステージは、前日までのジャワ島を離れ、バリ島へ移動。同島の西側に位置する港、グリマヌクからバトゥール・グローバル・ジオパークまでの136.8km。コースは、スタートからしばらくは海沿いの平坦路をゆくが、後半にかけて上り基調へと変化。山岳ポイントを通過後にいったん下って、フィニッシュのバトゥール・グローバル・ジオパークに向かって再びの登坂。山岳区間は全体的に舗装が荒く、残り25kmからは未舗装区間も現れる。大会の最後にやってきた難コースを前に、KINAN Cycling Teamはトマの個人総合首位のキープを最優先することを確認。ライバルたちの動きを注視しながら、最終目的地を目指していく。

最終日とあって、やはり残りわずかなチャンスに賭ける選手たちがアクチュアルスタート直後から次々とアタック。激しい出入りの中、レース序盤が進行していく。この状況がしばらく続いたが、30km地点を迎えたところで7人が先行を開始。個人総合での最上位はトップのトマから約6分差の選手とあり、この段階でKINAN勢が集団を落ち着かせてコントロールを本格化。50km地点を過ぎたところでのタイム差は5分30秒。メイン集団は新城雄大や山本がペーシングを担う。

レース状況が一変したのは、70kmを過ぎたあたり。タイム差を知らせる情報が錯綜したことや、通過する都市の交通規制が混乱したことが関係し、あっという間にその差が大きく広がってしまったのだ。90km地点でのタイム差は、この日最大の10分25秒となった。

だが、ここからがKINAN勢の見せ場となった。大差になっていることを確認すると、新城や山本がペースを上げ、レース後半の山岳区間に入るとサルバドールとマルコスが登坂力を武器に前を行く選手たちとの差を縮めていく。同時にメイン集団は崩壊し、徐々に人数が絞られていく。この日2つ目のカテゴリー山岳が設置された126km地点では4分45秒差として、リーダージャージのキープに向けて状況を整えていく。

この間、先頭は2人となりステージ優勝争いへとシフト。結果、最終盤に独走へと持ち込んだベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、チームサプラサイクリング)がこのステージの勝者となった。

ダイボールのフィニッシュから約5分。トマを含むクライマーたちの集団がやってきた。サルバドール、マルコスが役割を終えてからは、トマが自らこのグループを率いてペースアップ。ステージ3位争いのスプリントからは後れを取ったが、総合においては安全圏でフィニッシュラインを通過。この瞬間、トマの個人総合優勝が決定した。

スタート直後からライバルとなりうる選手たちの動きはしっかりとチェックし、逃げを狙う選手たちのアタックを選別しながらレースコントロールに持ち込んだKINAN勢。途中、思わぬ形で先頭グループに大差を許すことになったが、そこはUCIアジアツアーを戦う中で培った走り方やメンタルで苦境を乗り切った。

インドネシアでの全5ステージを終えて、トマは個人総合のグリーンジャージと山岳賞のブルージャージを獲得し、2冠を達成。チーム総合でも3位とし、その力を示すこととなった。今大会に臨むうえでのテーマの1つであったUCIポイントの獲得は139点。大会を制したトマにとどまらず、第3ステージで3位となった新城ら日本人メンバーの走りも高い貢献度となった。

シーズン後半戦最初のヤマ場として挑んだツール・ド・インドネシアを成功裏に終えたKINAN Cycling Team。ここで得た勢いを、その後のレースにもぶつけていくことになる。なお、チームの次の公式戦は、9月1日のシマノ鈴鹿ロードレースクラシックを予定。その2日前には三重県・松阪競輪場で開かれるバンクリーグ第2戦に臨むことにもなっている。

トマ・ルバ

トマ・ルバのコメント
「ハードなレースになることは想定していた。コース上がオープンになってしまっている状況があり、先頭グループとのタイム差が思っていた以上に広がってしまったが、新城雄大と山本元喜が素晴らしいコントロールをしてくれて、山岳に入ってからはサルバの牽引が本当に強かった。そのおかげでグリーンジャージをキープすることができた。もちろんこの結果はみんなで力を結集させたことによるもので、とても美しい優勝になった。
(ステージ3位に入った)第2ステージ後にも感じたことだが、シーズン後半戦に入ってみんながよい働きを見せていて、厳しいシーズンインだったチーム状況を切り替えられている。まずは今日の勝利の喜びに浸るとして、明日からは次の大きな目標へ向かっていく。チーム全員がよいコンディションにあり、力を合わせて戦うことがとても楽しみだ」

●キナンサイクリングのホームページ