山岳王クーン・ボウマンが区間2勝目【ジロ・デ・イタリア第19S】

第105回ジロ・デ・イタリアは5月27日、マラーノラグナーレ〜カステルモンテ間の177kmで第19ステージが行われ、クーン・ボウマン(オランダ、ユンボビスマ)が第7ステージに続く2勝目を挙げた。

クーン・ボウマン、アンドレア・ベンドラーメ(左)、マウロ・シュミット(右)が勝負 ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse

総合成績では、マリアローザのリチャル・カラパス(エクアドル、イネオスグレナディアーズ)、3秒遅れの総合2位ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)を抑えて首位を守った。

2022ジロ・デ・イタリア第19ステージ ©Fabio Ferrari/LaPresse
マリアローザのカラパス、ジャイ・ヒンドレー、ミケル・ランダの三強がバトル ©Fabio Ferrari/LaPress
クーン・ボウマンが今大会2勝目 ©Massimo Paolone/LaPresse
マリアローザのカラパスが首位を守った ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse
山岳賞ジャージのクーン・ボウマン ©Gian Mattia D’Alberto/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)リチャル・カラパス(エクアドル、イネオスグレナディアーズ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
マリアアッズーラ(山岳賞)クーン・ボウマン(オランダ、ユンボビスマ)
□マリアビアンカ(新人賞) フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)

リチャル・カラパス。エクアドルからやってきた家族と再会 ©Marco Alpozzi/LaPresse

第18ステージにもどる≪≪   ≫≫第20ステージにすすむ

イェーツ独走で一矢、カラパスがマリアローザ【ジロ・デ・イタリア第14S】

第105回ジロ・デ・イタリアは5月20日、サンレモ〜クネオ間の150kmで第13ステージが行われ、サイモン・イェーツ(英国、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)が2位に15秒差をつけた独走で優勝。

サイモン・イェーツがカラパスらを置き去りにする ©Fabio Ferrari / LaPresse

総合成績ではトレック・セガフレードのフアン・ロペス(スペイン)が脱落し、前日まで12秒遅れの総合2位につけていたリチャル・カラパス(エクアドル、イネオスグレナディアーズ)が首位になり、マリアローザを獲得した。

2022ジロ・デ・イタリア第14ステージ ©Fabio Ferrari / LaPresse
サイモン・イェーツがアタック ©Fabio Ferrari / LaPresse
カラパスとヒンドレーがマリアローザをねらって走る ©Fabio Ferrari / LaPresse
サイモン・イェーツが第14ステージを制した ©Massimo Paolone/LaPresse

●4賞ジャージ
マリアローザ(個人総合成績)リチャル・カラパス(エクアドル、イネオスグレナディアーズ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
マリアアッズーラ(山岳賞)ディエゴ・ローザ(イタリア、エオーロ・コメタ)
□マリアビアンカ(新人賞) ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEエミレーツ)

カラパスがマリアローザ ©Massimo Paolone/LaPresse

第13ステージにもどる≪≪   ≫≫第15ステージにすすむ

リチャル・カラパス…東京五輪の金メダリストのストーリー

エクアドルのリチャル・カラパス(28)が2021年7月24日に開催された東京五輪男子ロードで2位に1分07秒差をつけた独走を決めて金メダルを獲得した。隣国コロンビアは自転車強豪国として定着したが、エクアドル勢は今回のレースでもわずか出場2人の新興国。カラパスの大躍進が母国の自転車シーンに強烈なセンセーションを巻き起こしている。

自転車をするために家族とともに隣国コロンビアに移住

カラパスが生まれたエクアドルはコロンビアの南西にあり、南米大陸で人口第7位の国。コロンビアと同様にスペインの旧植民地で、言語はスペイン語。そしてどちらにもアンデス山脈があり、標高3000mを越える山岳地帯にも人々の営みがある。有酸素運動の高い能力を備えた逸材を輩出する環境がある。

カラパスがエクアドル選手として初優勝。2018ジロ・デ・イタリア第8ステージ © Gian Mattia D’Alberto – LaPresse

南米大陸で最初に自転車レースが盛んになったのはコロンビアだ。1983年、ツール・ド・フランスが例外的にコロンビアのアマチュア選手で構成されたナショナルチームを出場させた。翌年には国営企業のカフェ・ド・コロンビアをスポンサーにして、針金のように細い四肢のルッチョ・エレラが最難関のラルプデュエズでステージ優勝し、1985年と1987年には山岳王になった。多くの国民が熱狂し、子どもたちが自転車レースを始めたのは言うまでもない。

カラパスが2019ジロ・デ・イタリア第4ステージで優勝 ©Fabio Ferrari/LaPresse

一方、エクアドル選手のツール・ド・フランス初出場は2020年のカラパスまで待たなければならなかった。高地で生まれたカラパスの周囲には自転車文化がなかった。2015年に自転車競技の盛んなコロンビアに家族とともに移住した。U25ブエルタ・ア・コロンビアで総合優勝したことが欧州チームの目にとまり、2016年のシーズン途中からスペインのモビスターに研修生として加入。2018年のジロ・デ・イタリア第8ステージで、カラパスが残り1kmからメイン集団を抜け出して初優勝して脚光を浴びた。

エクアドル選手がグランツールと呼ばれる三大大会で区間勝利したのは初めての快挙だった。

マリアローザのカラパスとアシスト役のランダ。2019ジロ・デ・イタリア第20ステージ ©Fabio Ferrari / LaPresse

「ボクはジロ・デ・イタリアに初出場したエクアドル選手だけど、子どものころはこんなハイレベルのレースでこの位置で走れるなんて考えられなかった」とカラパス。

「母国に自転車文化がないのはちょっとさみしい。この勝利がきっかけとなって、エクアドルの子どもたちが自転車に興味を持ってくれるとうれしい」

2019ジロ・デ・イタリア総合優勝のカラパス ©Fabio Ferrari / LaPresse

そして2019ジロ・デ・イタリア第14ステージ。カラパスが独走を決めて、第4ステージに続いて2勝目、大会通算3勝目を挙げた。総合成績でもここで一気に首位へ。

「今日はエース選手の調子がよくなくて、ボクが首位をねらってアタックすることになった。自転車を始めた15歳の時からマリアローザは夢だった」

カラパスは最終的にエクアドル選手として初めて総合優勝した。中盤で首位に立った伏兵が最後まで逃げ切ったのは予想外だったが、「子どものころに抱いた夢は絶対に忘れちゃいけないんだ。決意をもって努力すれば現実になる」と語った。

2020ブエルタ・ア・エスパーニャで、ログリッチを振り切ろうとするカルパス ©PHOTOGOMEZSPORT2020

エクアドルの自転車競技界は選手層が厚いわけではなく、カラパスが唯一の存在。しかし母国では多くの人が快進撃に熱狂し、自転車レースへの関心が一気に高まったという。

イネオス・グレナディアーズに移籍した2020年はツール・ド・フランス初参加。2021年はチームエースとして走り総合3位。パリにゴールした6日後の東京で金メダルをゲット。身長170cmの小兵ながら、まったく疲れを知らない選手だ。

2020ツール・ド・フランス。ゴール後に健闘をたたえ合うポガチャル(左)とカラパス ©A.S.O. Charly Lopez

男子ロードはNHK見逃し配信で…BS1でもダイジェスト

東京五輪は競技初日の7月24日、最初の決勝種目として自転車競技男子ロードレースが行われ、エクアドルのリチャル・カラパスが優勝。この模様は民放テレビ局によるインターネットでのオリンピック公式競技動画配信サイト「gorin.jp」で配信されたが、NHKの東京2020オリンピック特設サイトで「見逃し配信」として視聴できる。

25日の午前4時から8島でのNHK BS1のダイジェスト枠で、ボクシングと水球とともに自転車競技男子ロードレースが放送される。解説は飯島誠。

●NHKの東京2020オリンピック特設サイト「自転車競技男子ロードレース」

自転車競技(ロード)女子ロードレースもLive配信

自転車競技女子ロードレースは7月25日12時50分から17時38分までgorin.jpでLive配信される。

自転車競技女子ロードレースのLive配信

カラパスの逆転をかけたアタックも24秒届かず…ブエルタ・ア・エスパーニャ

第75回ブエルタ・ア・エスパーニャは11月7日、セクエロス〜アルトデラコバチラ間の178.2kmで第17ステージが行われ、首位のプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ビスマ)を45秒差で追う総合2位リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアス)が、逆転をかけてゴールまでの上りでスパートしてログリッチを振り切ってゴール。しかしログリッチはその21秒後にゴールし、総合成績での差を24秒まで詰め寄られたものの首位を死守。最終日を残して大会連覇を確実にした。

ログリッチを振り切ろうとするカルパス ©PHOTOGOMEZSPORT2020

6つの峠を越える最後の山岳ステージはグルパマFDJのダビ・ゴデュ(フランス)が第11ステージに続いて優勝した。

2020ブエルタ・ア・エスパーニャ第17ステージ ©PHOTOGOMEZSPORT2020

「2連覇でシーズンを締めくくることができそうでとてもうれしい」とログリッチ。

「全力をかけて戦って2位なのだから最高のシーズンになると思う」とカラパス。

ともにコロナ禍で苦闘したシーズンに万感の思い。

2020ブエルタ・ア・エスパーニャ第17ステージ ©PHOTOGOMEZSPORT2020
逆転をかけて最後の上りでアタックしたカルパス ©PHOTOGOMEZSPORT2020
ログリッチは総合成績での差を24秒まで詰め寄られたものの首位を死守 ©PHOTOGOMEZSPORT2020

●4賞ジャージ
マイヨロホ(個人総合成績)プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ビスマ)
マイヨベルデ(ポイント賞)プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ビスマ)
マイヨルナレス(山岳賞)ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
□マイヨブランコ(新人賞)エンリク・マス(スペイン、モビスター)

ゴデュがステージ2勝目 ©PHOTOGOMEZSPORT2020

第16ステージにもどる≪≪   ≫≫第18ステージにすすむ

2020ブエルタ・ア・エスパーニャ出場176選手

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ログリッチがタイムトライアル優勝で首位奪還…ブエルタ・ア・エスパーニャ

第75回ブエルタ・ア・エスパーニャは11月3日、ミュロス〜ミラドルデエザロ間の33.7kmで第13ステージとして個人タイムトライアルが行われ、前日に首位を陥落したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ビスマ)が執念のトップタイム。今大会4勝目、大会通算5勝目を挙げた。

個人タイムトライアルで最速記録をたたき出したログリッチ ©PHOTOGOMEZSPORT2020

首位リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアス)は49秒遅れの7位。その結果、総合成績でログリッチがカラパスに39秒差をつけて首位を奪還した。

首位を陥落したカラパス ©PHOTOGOMEZSPORT2020

今大会唯一の個人タイムトライアル。ログリッチは9月のツール・ド・フランスで、最終日前日にあった個人タイムトライアルで首位を陥落した苦い経験があった。

「ボクがカラパスに遅れるだろうとみんなが思っていたが、今日は脚に余力があって自分を追い込むことができた」とログリッチ。

「他の選手も強いけど、総合優勝のために最後まで全力で戦いたい」と大会連覇に向けて意欲を見せた。

新人賞ジャージのエンリク・マス ©PHOTOGOMEZSPORT2020

●4賞ジャージ
マイヨロホ(個人総合成績)プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ビスマ)
マイヨベルデ(ポイント賞)プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ビスマ)
マイヨルナレス(山岳賞)ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
□マイヨブランコ(新人賞)エンリク・マス(スペイン、モビスター)

総合1位のマイヨロホを奪還したログリッチ ©PHOTOGOMEZSPORT2020

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2020ブエルタ・ア・エスパーニャ出場176選手

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