⽇本初上陸のレッドブル・クラッシュドアイスは1万人が大興奮

アイスホッケー、ダウンヒルスキー、そしてスノーボードクロスの要素を取り⼊れたアイスクロス・ダウンヒル競技の世界選⼿権 ATSX Red Bull Crashed Ice World Championship(ATSX レッドブル・クラッシュドアイス・ワールドチャンピオンシップ)の2018‒19シーズン開幕戦が、12⽉7⽇(⾦)・8⽇(⼟)に横浜市にある臨港パークで⽇本初開催された。

横浜を象徴するビル群を背に猛スピードで駆け抜ける選⼿たち © Armin Walcher / Red Bull Content Pool

レッドブル・クラッシュドアイスは、アイスホッケーのプロテクターを付けた選⼿が、街中に設置された⾼低差がある氷の特設コースを最⾼時速80kmに達する中、⼀⻫に滑りおりるレース。レースは1ヒート4選手で⾏われ、コース途中に設置されたヘアピンカーブやバンクコーナー、連続バンプや段差などの障害物をかわしながら猛スピードで駆け抜
ける。2001年に初開催、2010年より世界選⼿権となり、記念すべき50回⽬の⼤会を今回アジアで初開催した。

⾼低差22m、⻑さ350mの造成したコース上に、中をマイナス14度の冷却剤が流れるチューブが連なるシートを敷き、上から⽔をまいて厚さ約10cmの氷のコースを張るのだが、あいにくの暖冬により凍っては溶けるを繰り返す緊急事態に。急きょ50トンの氷を購⼊し、徹夜で応急処置を施すなどコース設営は難航を極めた。

⽔を撒くスタッフ。コース造成は夜通し⾏われた © Suguru Saito / Red Bull Japan

また競技⾃体も、氷の状態を元に戻せるかの⾒通しが⽴ちにくい状態が続いたため、7⽇午前に予定していたタイムトライアルを急きょ6⽇(⽊)深夜に実施するなど、スケジュールを⼤幅に変更し、7⽇の最終予選と8⽇決勝の開催に漕ぎつけた。

⼤会には男⼥あわせて146選⼿が出場。最終予選と決勝は両⽇で約1万⼈の観客が⾒守る中で実施された。

男⼦は2015-2016年と2016-2017年シーズンのワールドチャンピオン、キャメロン・ナーズ(Cameron Naasz、米国)、⼥⼦は2017-2018年のチャンピオン、アマンダ・トルンゾ(Amanda Trunzo、米国)が優勝した。ナーズは「昨シーズンは総合優勝を逃したので、今シーズンは⾮常にいいスタートが切れてうれしい。⽇本での初開催は、⼤会および競技にとってとても有意義だったと思う。運営チーム、チームともに素晴らしく、ここで優勝できたことをうれしく思う」とコメント。アマンダ・トルンゾは「純⼦は⻑年に渡ってこの競技にかかわっていて、この⼤会を機に⽇本の選⼿がきっと増えると思うので、⼤会の成功は数年後にもみられると思います。私と張り合ってくれる選⼿が現れたらうれしい」とコメントした。

前年覇者スコット・クロクソールを追う安床武士(右から2番目)、山内⽃真(右) © Armin Walcher / Red Bull Content Pool

⽇本からは2017-2018シーズンランキング10位の⼭本純⼦、インラインスケートのハーフパイプで幾度も世界チャンピオンに輝いている安床エイトと安床武⼠の安床兄弟ら15⼈が参加。決勝の男⼦64名、⼥⼦16名の枠に、2本滑って好タイムで順位が決まるタイムトライアル(男⼦は上位32名、⼥⼦は上位8名が決勝進出)で安床武⼠が28位、⼭本が6位で進出。

続いて7⽇に開催されたLast Chance Qualifier(最終予選)を、同志社⼤アイスホッケー部の⼭内⽃真と、現役⾼校⽣の吉⽥安⾥沙が勝ち抜き、計4⼈の⽇本⼈選⼿が決勝に駒を進めた。

迎えた決勝では、1回戦(Round Of 64)で安床武⼠と⼭内が同組、かつ2017-2018シーズンのワールドチャンピオンのスコット・クロクソール(Scott Croxall、カナダ)と同組になり、残念ながら両名とも敗退した。

レース後、安床武⼠は「体調、精神⾯ともにいい状態で、初めて決勝トーナメントに進めたのですが、(昨シーズン世界チャンピオンの)スコットの滑りが、あまりにもレベルが⾼すぎてちょっと焦り、レース中に1回転倒したのが⼼残りです。しかし、思いっきり⾏けたので満⾜しています。すごくたくさんの⽅が応援してくれていることが本当に⾃分たちにとって⼒になり、⾃分の実⼒以上のタイムが出せたので感謝しています。レッドブル・クラッシュドアイスに
これからも出場し続け、再び⽇本で開催されるように頑張りたいです」と語った。

これまで単身で海外大会を転戦してきた山本純子にとっては夢にまで見た国内大会だった © Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

⼥⼦も⼭本と吉⽥が1回戦から当たる組み合わせとなったが、⼭本が準々決勝(Round Of 16)を勝ち抜き、準決勝は3位で敗退したが、5〜8位決定戦(Small Final)で2位に⼊り、6位で初戦を終えた。

⼥⼦準決勝の映像
⼥⼦5〜8位決定戦の映像

⼤会を振り返って⼭本は「決勝に出場した選⼿は、誰もがレベルの⾼い選⼿ばかりで、ファイナル⽬指していたのですが届きませんでした。⾃分のベストを尽くして最後まで⾛れたのでよかったと思います。⾛っている時に⾃分の名前を呼んでいる声が聞こえてきて、すごく勇気づけられました。海外から来た選⼿もレースを楽しんでいたし、コースを造る⼈、レースを運営する⼈など、たくさんの⽅々によって⼤会を成功できたと思います」と語った。

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⼭本純⼦、シーズン好発進の6位…クラッシュドアイスが日本で夢の初開催

アイスホッケー、ダウンヒルスキー、そしてスノーボードクロスの要素を取り⼊れたアイスクロス・ダウンヒル競技、レッドブル・クラッシュドアイスの2018‒19 シーズン開幕戦が12⽉7⽇と8⽇に横浜市にある臨港パークで⽇本初開催され、山本純子が6位になった。

これまで単身で海外大会を転戦してきた山本純子にとっては夢にまで見た国内大会だった © Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

タイムトライアルで6位。最終順位も6位。実際に今の実力はこの位置なんだと思います。さらに力をつけてもっと上で走れるようになりたいです。

今回チャレンジしてくれた日本人選手は、悔しい思いをした選手もいれば、力の限り戦ってファイナルに残ってくれた選手もいます。それぞれが次につなげようという思いを持ってチャレンジした。その気持ちが次につながると思うので、このクラッシュドアイスに興味を持ってくれる人がどんどん増えてくれるのではと期待しています。

会場に来てくれたお客さんが大きな声を出して、走るたびに「純子!」とか「頑張れ!」という声援がはっきりと聞こえていました。スタートに立ったとき、ゴール地点を映し出している映像が見えて、ゴールで家族とチームメイトが旗を持って応援してくれていたのもわかりました。絶対にそこまで走りきろうと思っていました。予選に参加してくれた日本選手もみんな応援してくれて、本当にこの競技に夢を持って集まってくれた人たちが後押しをしてくれた。これまでのシーズンよりもいい結果を残すことができたので、このあとも上位に食い込んで総合順位を上げていきたいと思います。

山本純子は日本勢として唯一スモールファイナルに進出 © Jason Halayko/Red Bull Content Pool

3位までの表彰台は私が背伸びしてようやく届く位置だと思うんですよ。最後までなにがあるかわからない競技ですが、セミファイナルで最後に2位争いをしたジャクリーンは優勝経験も豊富で、彼女はミスしないだろと思って最後のフィニッシュラインで足を伸ばしたんですが、フィニッシュを入った時は負けたと思いました。

クラッシュドアイスに初参加するために海外に行ったときは「こんなイベントがあったんだ」と思いましたが、ここ数年のうちにこの大会を日本に呼ぶために現地に足を運んだ人がいたり、日本で開催するために活動してくれた人がいたり、現実的なプランとなってからはこの日のために準備をしていました。

初めての日本開催はリラックスした気持ちで臨むことができました。最初にスタート台に立った時は足が震える気持ちがあったのですが、とても落ち着いていて、それがいいのか悪いのかわからなかったんですが、結果的にセミファイナルは勝ち上がることができたので、ホームでリラックスできたことがよかったのかなと思います。

横浜大会はめちゃめちゃきれいでした。海外大会も素晴らしいですが、このロケーションは負けていないですね。夜景も素晴らしかったんですが、スタート時は着地するポイントを見ないとバランスを崩してしまうので、がんばって足元を見ることに集中しました。

世界ランキング2位と6位のカナダ勢を相手に戦う山本純子(奥) © Armin Walcher / Red Bull Content Pool

セミファイナルは上位進出経験のある選手たちが多かったので、あえて後ろから追っていく展開を選びました。自分の判断としては間違えていなかったと思います。ファイナル進出こそできませんでしたが、スモールファイナル(5〜8位決勝)に関しては順位決定戦なので、攻めなくてはいけないと思ったのでスタートこそ出遅れましたが、その後は攻めていきました。

今回は温暖な気象条件によるコースコンディションの問題でしっかりと練習するということができなかったので、目の前のことをしっかりやろうということに集中しました。その結果、これまでよりもわりといい成績を残せたので、あまり先のことを考えずにすぐ目の前のことしっかりやっていこうという考えがよかった。

やはりこの地元開催で最後まで残りたいという気持ちはあって、セミファイナルで負けてしまったのは残念な気持ちもあるんですけど、最後まで走りきれたので応援してくれた人たちに感謝の気持ちを伝えたいです。

レッドブル・クラッシュドアイス2018-2019シーズン第1戦 横浜大会
●男子最終成績
優勝 Amanda Trunzo/アマンダ・トルンゾ(米国)
6位 山本純子/やまもとじゅんこ/社会人
15位 吉田安里沙/よしだありさ/17歳、高校生

第2戦 2019年2月2日 ユバスキュラ(フィンランド)
第3戦 2019年2月8-9日 ボストン(米国)

山本純子 © Lisa-Marie Reiter / Red Bull Content Pool

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クラッシュドアイスにもっとハマりたい…初参戦健闘の山内⽃真

同志社大アイスホッケー部所属の20歳、クラッシュドアイス初挑戦の山内⽃真が、12月8日に神奈川県横浜市の臨港パークで開催されたレッドブル・クラッシュドアイスで気をはいた。

山内⽃真 © Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

大会最終日のファイナルに進出した日本男子はわずか2人。Xゲームズ・インラインスケートの元世界王者である安床武士。そして山内だ。

ラウンドオブ64の組み合わせは予選のタイムトライアルの結果、2017-2018シーズンの世界チャンピオンであるスコット・クロクソール(カナダ)と武士が同じ組となっていて、そこに敗者復活戦から勝ち上がってきた2人が加わる。その1人が山内だった。

「クロクソールと武士さんはタイムトライアルの上位32選手として決まっていて、その組にボクが入るとわかったときは興奮しました。ビビるのではなく、がぜんやる気が出ましたね。おそらく今回の大会でベストの組だと思いました。強豪メンバーだけど、このレースってなにがあるかわからないので」

前年覇者スコット・クロクソールを追う安床武士(右から2番目)、山内⽃真(右) © Armin Walcher / Red Bull Content Pool

クラッシュドアイスの存在を知ったのは中学1年生のころ。憧れていたスポーツがまさか日本で開催されるとは思わなかった。大学で部活動を続けながら練習会に参加し、ダントツの実力で日本代表として選出された。

そして迎えたラウンドオブ64。スタートはほぼ同時だが、すぐに実力のあるクロクソールが抜け出していく。山内は武士に先行して前の2人を追ったが、攻めてはいけないと思ったところで前走者をたまらず抜きにかかって転倒。失速して最下位に後退した。

「自分が焦ったら1番ダメなところで。やっぱり意気込みすぎたステージだからこそ焦りが出てしまった。それにスキルも足らなかったのかなと思います」

自らのストロングポイントはアイスホッケーで培ったダッシュ力。終盤の平たんな直線路で逆転をねらっていた。しかし世界チャンピオンとレースをすることが心理面で緊張感にとらわれたのか、自分自身をコントロールできなかった。

「このコース自体が世界屈指の難関コースだったので、もっともっとレースに参加したい気持ちがありました。感無量です。このスポーツにさらにハマりたいと思いました」

とにかく大観衆の声がすごかったという。コケても笑って走りきれたのですごい楽しかったという。もうこのスポーツの魅力にとりつかれた。後の選手もどんどん参入してきてほしいという。

「アイスホッケー選手にもチャンスがあります。自分が伸びるところをどんどん見つけてほしいと思います」

山内⽃真が日本初開催の大会で1人気をはいた © Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

競技は冬季五輪の新規種目となる可能性もある。そのためにもっともっと競技人口を増やして、日本選手の力を向上させていくことも必要だ。来年以降も日本で開催されることを期待する。

「最後まで笑ってフィニッシュできたのでホッとしています。次のチャンスがあるのならそこでもっと成長したところ見せてジャンプアップしていきたい。自分に足りないものを次の大会までもっと鍛えて。フラット部分のスケーティングはそれほど劣らないけれど、角度のある部分で要求される技術面はまったく劣っている。必ずファイナルに残っていける選手になることが応援してくれているみなさんに対しての恩返しだと思います」

レッドブル・クラッシュドアイス2018-2019シーズン第1戦 横浜大会
●男子最終成績
優勝 Cameron Naaz/キャメロン・ナーズ(米国)
36位 安床武士/やすとこたけし/32歳
52位 山内斗真/やまうちとうま20歳(同志社大)

第2戦 2019年2月2日 ユバスキュラ(フィンランド)
第3戦 2019年2月8-9日 ボストン(米国)

⼭内⽃真 © Lisa-Marie Reiter / Red Bull Content Pool

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消えていく世界チャンピオンの後ろ姿は忘れない…安床武士ファイナルで敗退

日本初開催となるレッドブル・クラッシュドアイスは大会最終日となる12月8日、神奈川県横浜市の臨港パークでファイナルが開催され、Xゲームズ・インラインスケートの元世界王者安床武士が出場。2017-2018シーズンの世界チャンピオンであるスコット・クロクソール(カナダ)といきなりラウンドオブ64で同走して敗退。目標とした上位進出の野望を断たれた。

インラインスケートの元世界チャンピオンとしての意地を見せた安床武士 © Lisa-Marie Reiter / Red Bull Content Pool

温暖な気象状況に左右され、6日深夜にタイムトライアルが急きょ行われた。32位までがラウンドオブ64に一発進出。下から5番目の28位だった武士は5番タイムのクロクソールと同じ組になっら。さらには敗者復活戦から勝ち上がってきた同志社大アイスホッケー部の山内⽃真も偶然に同じ組に入った。運命のいたずらともいえる夢のヒートで、会場が盛り上がったのは言うまでもない。

スタートは武士も山内もそれほど悪くはなかった。しかしすぐにクロクソールが先行する。
「後は彼について行こうと思ったけど、そういうレベルじゃなかった。やっぱりワールドチャンピオンって当たり前だけどスゲーと感じた。そんなに力を入れていないはずなのに各セクションで彼がどんどん消えていく」

わずかなあせりから武士がミスをする。それをカバーできない。
「決勝に残ることを目標としてここまでやって来たので、スタートでそんなに出遅れない自信はあったんですけど、最初のコーナーから消えていくクロクソールの姿ばかりが印象に残っています」

自分としてはベストに近い走りだったかなと感じた。しかしすべてのスキルがしっかりこなせないとファイナルでは勝てないということがわかった。それが今回の収穫だ。消えていったクロクソールの姿を想い起こしながら継続的に頑張りたいという。

前年覇者スコット・クロクソールを追う安床武士(右から2番目)、山内⽃真(右) © Armin Walcher / Red Bull Content Pool

じつはクロクソールは5月に来日し、初開催の日本大会に備えて出場を目指す日本の代表候補を集めて指導してもらったという経緯がある。前シーズン最終戦のカナダ・エドモントン大会で兄エイトとともに出場経験のある武士も一緒に指導を受けたり、クラッシュドアイス未経験の若手アスリートにアドバイスを送った。
「クロクソールは現役選手でありながらコーチもしてくれる。このスポーツにかける情熱はすごい。一緒に同じ時間を過ごしているだけでそれが分かります。次元が違う領域にいる。今回はその実践編というような感じでした。彼にさらに大事なことを教えてもらいました。トップ選手は何本か滑っただけでコースの攻略法がわかる。やはりそれが経験値。彼らの懐の深さなんですね」

Xゲーム界の世界チャンピオンという意地があったので、練習の時からはずかしい走りはできないというプレッシャー。インラインスケートのハーフパイプをやってる選手は必ずこの競技につながると言い切る。今回の決勝進出でそれは1つ証明できたかなと胸を張る。ファイナルまで行けたという自信をベースにして、後任選手を育てていきたいと夢を語る。そしていつまでもクラッシュドアイス挑戦者としての真摯な態度も忘れない。

「恐怖感はある程度感じることも大事。メンタル面、ライン取りなどの戦術、着地などのテクニック。クラッシュドアイスにはさまざまな課題がある。クロクソールには世界チャンピオンの誇りがあるけれど、ボクたちには守るものがないのが強みなので。コケてもいいくらいに攻めました。それでも力及ばなかった」

「前年の世界チャンピオンとの同走は、ある意味特等席で彼の走りを見てるじゃないですか。世界チャンピオンの後ろで走っているのでへんな興奮があった。いやあ、速すぎます。今の段階ではちょっとやそっとの勢いでは追いつけるスケーターではないです。スキルや経験などすべてのもの待っている。どんどん小さくなっていく彼の後ろ姿を絶対忘れない」

安床武士 © Lisa-Marie Reiter / Red Bull Content Pool

このスポーツの魅力を伝えたり、これにハマって競技を始めてくれる若手選手のチャレンジを期待している。今回の兄弟としてのチャレンジがそのきっかけになければいいと言い切る。後に続く選手たちに夢をつなげたい。将来が明るくなる道を作っていかないといけないという責任感がこの兄弟にはある。

クラッシュドアイスの特徴は2位以内と3位以下では天国と地獄の差があるということだ。1位と2位は上位進出を果たしてガッツポーズする。3位と4位はその道が断たれて敗者として到着する。観客にとっても分かりやすいシーンだが、選手としてこれは鮮烈な景色だ。

「本当に夢の舞台でした。まさかこの横浜で大会が実現するとはイメージできなかったですが、素晴らしいコースができてそこで2日間もすべることができた。ほんとに夢のような時間を過ごしました。会場にいるみんなの応援の声がスタートまでしっかりと届いていました。だからいい結果を残したかったけれど、残念な結果になりました。ただしやって来たことはひとつも無駄なものはないし、すべてが次につながっていくと思います」

このスポーツでもっともっと頑張りたい。より一層その気持ちが強くなる。シーズンは第2戦ユバスキュラ(フィンランド)と第3戦ボストン(米国)がある。次こそはクロクソールの姿を追っていきたい。
「その深さにすごいハマりました。フィンランドとボストンではガッツポーズしてゴールをしたい」

レッドブル・クラッシュドアイス2018-2019シーズン第1戦 横浜大会
●男子最終成績
優勝 Cameron Naaz/キャメロン・ナーズ(米国)
36位 安床武士/やすとこたけし/32歳
52位 山内斗真/やまうちとうま20歳(同志社大)

第2戦 2019年2月2日 ユバスキュラ(フィンランド)
第3戦 2019年2月8-9日 ボストン(米国)

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レッドブル・クラッシュドアイス横浜大会決勝種目の競技時間決定

レッドブル・クラッシュドアイス横浜大会は12月8日に決勝日を迎え、競技時間が発表された。

ミナトヨコハマに設営された特設アイストラック © Armin Walcher / Red Bull Content Pool

●レッドブル・クラッシュドアイス横浜大会のタイムスケジュール予定
12⽉8⽇(⼟)
18:00-18:45 男子ラウンドオブ64
18:45-19:00 女子ラウンドオブ16
19:10-19:30 男子ラウンドオブ32
19:35-19:45 男子ラウンドオブ16
19:45-19:55 女子ラウンドオブ8(準決勝)
19:55-20:00 男子ラウンドオブ8(準決勝)
20:03-20:06 女子スモールファイナル(5〜8位決定戦)
20:06-20:12 女子決勝、授与式オンアイス
20:12-20:17 男子スモールファイナル(5〜8位決定戦)
20:17-20:29 男子決勝、授与式オンアイス
20:30 表彰式

【決勝は生配信】
12月8日(土)19時からSPORTS BULLのサイトで視聴可能。日本初上陸のアツすぎる氷上バトルを見逃すな!

●決勝種目に出場する日本選手

⼭内⽃真 © Lisa-Marie Reiter / Red Bull Content Pool

吉⽥安⾥沙 © Lisa-Marie Reiter / Red Bull Content Pool
安床武士 © Lisa-Marie Reiter / Red Bull Content Pool
山本純子 © Lisa-Marie Reiter / Red Bull Content Pool

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日本の教育やスポーツが新たな時代に…安床エイトのクラッシュドアイス

日本初開催となるレッドブル・クラッシュドアイスは12月7日、LQC(ラストチャンスクオリフィアーズ)と呼ばれる敗者復活レースに安床エイトが出場し、8日の決勝進出に望みをかけてスタートしたが上位進出を果たせず、今大会を終えた。

安床エイトは果敢に攻めるも決勝進出が果たせず © Jason Halayko/Red Bull Content Pool

「悔しいです。もっともっと勝ち上がっていきたかった。場面場面で悔いは残ることはあるんですが、いまはこれでいいかな。次につなげていければいいと思います」

安床自身は2年前にアスリート活動にある程度の区切りをつけ、インラインスケートを使った運動教室の運営を中心に活動している。選手仲間に加え、生徒も応援に駆けつけてくれた。指導している生徒からは「これからもアイススケートを続けてほしいと言われると思う」と予想する。

ゴール後は大粒の汗をしたたらせ、全身から湯気を発散させながら、「とりあえず走りきりました」と感無量の表情。
「走りきったっていうはこのレースだけじゃなくて真剣に挑戦を続けた10カ月のこと。わずか10カ月ですけれど、本当にいろんな人にめぐり会って、アドバイスをもらったり助けてもらったりと、奇跡のような10カ月だった。感謝です」

日本初開催のレッドブル・クラッシュドアイスも海外大会と同様に最高の盛り上がりを見せた © Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

予選敗退という現実を受け、その反省点は自分のなかで受け入れて、次につなげていきたいという。あせりから来るバランスの崩れであるとかを修正する必要があるという。

「タイムトライアルのように1人で滑る競技と、4人で競り合うレースはスポーツが異なるくらいに違ったもの。同走する他選手に対してどうするか、どんなラインを取るかという一瞬の判断、先行されたときに追いつくスキル。それが課題です。これからもアイススケートに乗り続けて、仕事としてのインラインスケートと両立していければと思います」

日本選手として2009年にクラッシュドアイス初参戦した猿渡亮。日本開催を知りカムバック。日本チーム全体をリードする存在だった。予選敗退に感無量の涙

日本を取りまとめていたのは日本人のクラッシュドアイス第一人者の猿渡亮だと強調する。
「インラインスケートのアドバイスや練習はボクが任されていて、ずっと一緒に戦ってきていたのでありがたいです。そういった意味で日本チーム全体の活躍はいまでも期待していて、全力で応援します」

この悔しい気持ちを自分自身の成長につなげていきたい。それがアイススケートなのかインラインなのかを考えていきたい。でも本当にいいイベントだと思うので、機会を与えられたまた戻ってきたい。今回は限られた時間の中の挑戦なので、時間をかけてアイススケートのじっくりとやっていきたい。アイススケートが好きになったので追求していきたいと語る。

「ジュニア大会で優勝したジョジョはお父さんがインラインスケートの選手だったので赤ちゃんのころから知っていて、そんなところでつながっているというのも実感としてあるので、生徒や息子が活躍してくれることを祈ります」

インラインスケートの元世界チャンピオンとしてアイススケートに挑戦した安床エイト

日本の教育やスポーツが新たな時代に変わりつつあることを感じているという。冬季五輪の種目にこのクラッシュドアイスが有力候補にあげられていたり、今までにないスポーツが世界で開催され、日本にも入ってきて、それを目指す若手アスリートが必然的に増えてくる。この島国から世界に飛び出していくチャンスが来たなと確信する。こまめに練習をすることが得意な日本人には向いているスポーツであることもお見通しだ。

「日本の旗が振られているなかで、声が聞こえていたので、いろんな人が名前を呼んでくれたり、頑張れと言ってくれたり、気持ちをのせてくれたので非常にうれしかったです。ボクは一足先に終わっちゃいましたけど、もうひとり安床が残っているので。弟の武士がやってくれると思います」

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