ツール・ド・フランス最高権威プリュドムがコロナ陽性

ツール・ド・フランスのレースディレクターを務めるクリスティアン・プリュドムが新型コロナウイルスに感染していることが9月8日に明らかになった。プリュドムは1週間ツール・ド・フランスを離れ、フランソワ・ルマルシャンが大会最高権威としての指揮を執る。

クリスティアン・プリュドム ©ASO_G.Demouveaux

ツール・ド・フランスは9月7日に出場選手とそのチームスタッフをPCR検査。全選手が陰性で、各チームも2人以上の陽性者がいなかったため、陽性者のみの除外にとどまり、全22チームがレースを続行すると発表したばかり。まさかの最高権威の感染が発覚した。

ただしツール・ド・フランスがストップすることはなく、プリュドムだけがツール・ド・フランスを7日間離れる。プリュドムは2回目の休息日の翌日、9月15日の第16ステージから役職に復帰する。

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自転車を愛するなら社会的義務を果たして…プロ協会が訴え

プロサイクリスト協会(CPA)がツール・ド・フランスの山岳ステージに集まった観衆の多さに、新型コロナウイルス感染への懸念を示し、「あなたがサイクリングを愛するのなら、社会的な義務を果たして!」と強く訴えた。

©Luca Bettini/BettiniPhoto

ツール・ド・フランスの沿道から、選手への声援とリスペクトを込めた歓声が再びわき起こった。新型コロナウイルス感染拡大により一時はすべての大会が中止あるいは延期となったが、関係者の努力によってリスタートすることができた。

第1週の山場、ピレネー山脈はフランスとスペインの国境線に位置するが、両国ともまさに第二波まっただ中。1日の新規感染者はどちらも1万人を突破する勢いだ。大会は感染予防のために、選手のみならずチーム関係者など全体が定期的なテストを受けている。またすべての関係者の健康を守るために、レースコースへのアクセスを一部制限している。

ツール・ド・フランスが停止することを避けるために、ファンも自分の役割を果たす必要がある、とCPA。ファンは、ツール・ド・フランスと世界中のすべてのサイクリストが活躍するべく再開されたレースに駆けつけ、選手を鼓舞するために沿道に陣取ることを歓迎されている。しかしファンは正しく行動する必要があり、マスクを正しく着用し、ソーシャルディスタンスを尊重してほしいと訴えている。

©Luca Bettini/BettiniPhoto

CPAのフランスの代理人、パスカル・シャントゥーは、「山岳ステージではスピードが遅くなり、また観客が選手に接近するエリアとなる。このエリアを規制強化するようにASOに依頼した」という。

CPAは、レースに行くファンに注意事項とリスペクトを呼びかける。

「安全な距離を取って選手らを奨励することで、この世界のチャンピオンにあなたの愛情を示してください。私たちは、選手が一生懸命仕事をしているにもかかわらず感染することを許しません。私たちの男の子と女の子が自分の仕事をして感染することを許すことはできません。選手とその家族に大きな打撃を与えるばかりでなく、検査で陽性となればレースからの即時追放となるので、選手キャリアを危険にさらすことになる」

上記はCPAのジャンニ・ブーニョ会長のコメント。

「握手をして抱き合い、スポーツスターからサインをもらい、お土産の写真のために彼らと一緒にポーズを取る日はいつか来る。それまでの間、私たちは選手の仕事と選手の努力に敬意を払うことによって、アスリートに対する尊敬を示すべきだ」

●プロサイクリスト協会のホームページ

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感染者2人でチーム除外…ツール・ド・フランス非常宣言

ツール・ド・フランスの主催者ASOは、選手とチームスタッフ30人の中から7日間で2人の感染者が出た場合、大会から除外すると各チームに通告した。第107回大会は8月29日にニースで開幕するが、各チームは滞在ホテル、チームバス、スタート、フィニッシュにアクセスできる30人(選手8人を含む)を申告する必要がある。

2019ツール・ド・フランス第12ステージ ©ASO Thomas MAHEUX

各チーム30人が「バブル」と呼ばれる閉鎖空間でレース活動をすることになる。これ以外の関係者は「バブル」内にアクセスすることが限定される。PCR検査は開幕6日前、3日前、そして2つの休息日に実施され、各チームの「バブル」内で2つの陽性者が出た場合、チームはレースから除外される。

9月20日にパリにゴールするまで、チームにプレッシャーをかけ続けることでクラスター感染を封じ込めることがねらいだ。

除外の原則は、検査で陽性と判断された場合だけでなく、非常に疑わしい症状が現れたときにも適用される可能性があ、医学的見地で判断される。

報道陣も、スタート地点では各チームのバスの前に待機して選手インタビューすることが禁止。ミックスゾーンが設定され、ソーシャルディスタンスを取って取材するという。

フランスでの新規感染者数は8月20日に4771人、21日に4586人と予断を許さない状況が続いている。

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ベルギービールウィークエンドの名古屋と大阪は一転中止

8月に開催を予定しているベルギービールウィークエンド2020名古屋と大阪が中止になった。ベルギービールウィークエンド2020日比谷は9月3日(木)〜9月6日(日)に開催を予定している。

実行委員会が行政機関などと協議を重ねてきたが、新型コロナウイルス感染者数増加と今後も起こりうる感染拡大防止の観点から、来場者とスタッフ関係者の安全面を考慮し、ベルギービールウィークエンド2020名古屋と大阪での開催を中止にした。

ベルギービールウィークエンド2020名古屋・大阪の開催分として販売していたチケットは、返金対応する。購入者に楽天チケットから連絡する。

新型コロナウイルスの収束状況や諸条件が整った際には、安心して楽しめるベルギービールウィークエンドの開催を視野にいれ引き続き準備、新型コロナウイルス対策を進めていきたいという。

●ベルギービールウィークエンドのホームページ

ツール・ド・フランス厳戒開催へ…選手・関係者をバブル内隔離

新型コロナウイルス感染拡大により当初予定から2カ月遅れとなる8月29日〜9月20日の開催となった第107回ツール・ド・フランス。異例ずくめの大会運営体制の一部が明らかになったが、過去に例がないほどの特殊なレースになりそうだ。

2019ツール・ド・フランス第17ステージ ©ASO Thomas MAHEUX

7月23日、大会主催者のASOから報道関係者に取材受け付けの案内がメール送信されてきた。

通常なら開幕の3カ月前に送信されるものだが、2020年は開幕まで1カ月余でようやく送られてきた。それだけ主催者が健康面での安全対策に苦心し、試行錯誤していたことが推測できる。

案内文は、現在の健康危機において必要とされる取材方法を説明している。これらの規定は7月に定められたとしていて、今後の数週間におけるフランスでの感染状況によっては、大きく修正される可能性があると警告している。

従来の「ファミリー」から「バブル」という枠組みに変更

ツール・ド・フランスはこれまで、主役である選手を中心に、チーム関係者、主催スタッフ、取材陣、スポンサーを「ファミリー」という言葉でひとくくりにし、円滑な運営を続けてきた。例えば交通規制に関してなら、一般の人たちが制限されるところにも「ファミリー」は入ることを許され、大会特別規定の道路通行ルールが適用された。

今回、「ファミリー」に替わって明記された言葉が「レースバブル」。英語ではRace bubble、フランス語ではBulle Course。

2019ツール・ド・フランス第8ステージ ©ASO Pauline BALLET

レースに関わる主要な人々の周りに「バブル」を実装する。その範囲となるのは選手、チームスタッフ、オフィシャル、レース運営者。取材陣とスポンサーは外されている。大会期間中はバブル内にいる人に対して厳格な健康管理と衛生対策が行われれ、バルブ内にウイルスを持ち込まない態勢づくりを構築した。さらにバブル外の人たちとの接触を可能な限り制限する。

ツール・ド・フランスに帯同する取材者、メディア、各地域の大会協力者はバブルの外となるが、大会に数日間関わる場合は、レース前の健康テストから期間中の健康観察、レースバブルとの接触制限、会場でのソーシャルディスタンス順守が厳命される。

無観客レースにはならない…大事なことは遠回しに表記

ファンの動きにも言及されている。常にソーシャルディスタンスを確保すること、レースコース沿道ではスマホアプリをインストールして、感染者が出たときに接触があったかを確認できるようにすること。これらの感染予防策を取り入れれば主催者は「一般の人たちも招待する」という表現をしているので、無観客レースとはならないようだ。

まとめると…
ツール・ド・フランス関係者の健康を守るためにバブルが設定される
レースバブル=選手・チーム関係者・大会運営スタッフ
第2バブル=それ以外のツール・ド・フランスファミリー
第3バブル=一般の人たち

2019ツール・ド・フランス第11ステージ ©ASO Pauline BALLET

ツール・ド・フランスに帯同するすべての人は現地到着の5日前以降にPCR検査を受けて陰性となった各国保険機関の証明書が必要。Stop Covid”アプリケーションをダウンロードする必要がある。マスク着用。

主催者側はさらに連日にわたって消毒を徹底的に行い、12〜19人ほどの専任医療関係者と看護士を帯同させる。また開幕時とパリのゴールでは選手の家族が訪問するのが恒例だが、2020年はこれも禁止された。

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ツール・ド・フランス選手は東京五輪を走れない…日程変更できない事情

新型コロナウイルスの影響で2021年夏に延期された東京五輪の新たな競技日程が7月17日に同組織委員会から発表され、ツール・ド・フランスと自転車競技男子ロードの日程が重なることが改めて確認された。2020年の当初予定ではツール・ド・フランスが東京五輪を尊重して、大会日程を1週間前倒しして重複を避けたが、2021年は簡単にはそれができない理由がある。

コペンハーゲンで開幕する2021ツール・ド・フランスのコースプレゼンテーションをするクリスティアン・プリュドム ©ASO_G.Demouveaux

新型コロナウイルス感染拡大を受けて2020年の国際スポーツイベントがこれまでにないほどの影響を受けている。この年の三大スポーツイベントのうち、五輪とサッカー欧州選手権(ユーロ)は1年延期。ツール・ド・フランスは毎年開催されることもあって、2カ月遅れの日程になった。

混乱は2021年にも続く。すでにツール・ド・フランスは7月2日に大会史上初めてデンマークのコペンハーゲンで開幕すると2019年2月に早々と発表している。伝統的にツール・ド・フランスは7月最初の土曜日に開幕するので、このこと自体は例年通り。ただし遠隔地開幕となるので、移動日を加えて1日増の24日間での開催とした。そのため7月2日は異例の金曜日。パリにゴールするのは7月25日だ。

話が戻るが、2020年のツール・ド・フランスは東京五輪に配慮して開催日程を通常より1週間早めていて、最終日を7月19日(日)とした。当初の2020東京五輪での男子ロードは開会式翌日の25日(土)に計画されていたので、ツール・ド・フランスで完走を果たした選手も中5日の余裕があった。

2021年に開催される東京五輪の日程が発表された

自転車男子ロードは五輪で常に最初の決勝種目

五輪では開会式翌日の競技初日に最初の決勝種目として自転車競技男子ロードが開催される。その理由は、町々をつないで走るロードレースは開催都市の全容を世界中に知らせるのにうってつけの種目であるからだ。とりわけ男子ロードは選手数が多く、空撮や併走による映像でその都市の魅力をあますことなく配信するというねらいがある。

これは1年延びて開催される2021年実施の東京五輪にも適用された。つまり五輪がスライドしたことによって五輪男子ロードが開催される日にツール・ド・フランス出場選手は最終日前日を走っているのだ。

●新型コロナウイルス感染拡大以前の大会日程
2020年6月12日〜7月12日 サッカー欧州選手権
2020年6月27日〜7月19日 第107回ツール・ド・フランス
2020年7月25日 東京五輪男子ロード

2021年7月2日〜25日 第108回ツール・ド・フランス

●新型コロナウイルス感染拡大後の大会日程
2020年8月29日〜9月20日 第107回ツール・ド・フランス

2021年6月11日〜7月11日 サッカー欧州選手権
2021年7月2日〜25日 第108回ツール・ド・フランス
2021年7月24日 東京五輪男子ロード

東京五輪の新たな競技日程は、基本的に延期前の日程の曜日を合わせてそのまま引き継いだものだ。自転車競技にはロードレース以外にも、トラック・MTB・BMXとあるが、国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長は「今回発表した各種目日程の変更することは不可能だ」と断言している。

大会プログラムを変更できるかと尋ねられたバッハ会長は「ノー」と述べた。「それはあまりにも複雑な意味を持つことになる。我々はすでにすべての利害関係者、つまりツール・ド・フランス主催者とデンマークの開幕ホストシティに伝えている」

2021ツール・ド・フランスは1週間前倒しできない

2021ツール・ド・フランスのグランデパール(開幕地)は、世界のサイクリングシティと言われるコペンハーゲン。デンマークの首都だ。7月2日(金)の開幕を目指して数年前から計画を立てている。新型コロナウイルス感染拡大という特殊事情を理由に、2020年のように1週間前倒しにできないか。これもノーだ。

こともあろうに、1年延期されたサッカー欧州選手権の試合がコペンハーゲンであるのである。

2019ツール・ド・フランス第4ステージはランス大聖堂をスタート ©ASO Pauline-BALLET

サッカー欧州選手権はいわゆる欧州におけるワールドカップで、4年に一度の開催。2021年に延期された第21回大会は欧州13カ国での分散開催となる。これは当初予定通り。じつはコペンハーゲンでは6月18日にグループBのデンマーク対ベルギー、22日にグループBのデンマーク対ロシア、そして29日には決勝リーグ「ラウンドオブ16」のグルーブD・2位対グルーブE・2位の試合が開催される。

東京五輪を避けてツール・ド・フランスを1週間前倒ししたら、今度はサッカーとぶつかってしまう。コペンハーゲンの警察当局は、2つのスポーツビッグイベントに多くの観客が殺到することを懸念。ツール・ド・フランスを1週間前倒しする案を受け入れることができないという。

「ツール・ド・フランスの経営陣から、2021年にデンマーク開幕予定日について討議する要請を受けたことは認める」と、グランデパール組織委員会のトップでもあるコペンハーゲンのフランク・ジェンセン市長が6月末に国営放送のDRでコメントしている。

以上、これは2021年の話。ツール・ド・フランス主催者はまず2020年大会をどうやって運営しようかに懸命。新型コロナウイルス余波はあまりにも大きい。

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