新型コロナウイルスの影響で2021年夏に延期された東京五輪の新たな競技日程が7月17日に同組織委員会から発表され、ツール・ド・フランスと自転車競技男子ロードの日程が重なることが改めて確認された。2020年の当初予定ではツール・ド・フランスが東京五輪を尊重して、大会日程を1週間前倒しして重複を避けたが、2021年は簡単にはそれができない理由がある。
新型コロナウイルス感染拡大を受けて2020年の国際スポーツイベントがこれまでにないほどの影響を受けている。この年の三大スポーツイベントのうち、五輪とサッカー欧州選手権(ユーロ)は1年延期。ツール・ド・フランスは毎年開催されることもあって、2カ月遅れの日程になった。
混乱は2021年にも続く。すでにツール・ド・フランスは7月2日に大会史上初めてデンマークのコペンハーゲンで開幕すると2019年2月に早々と発表している。伝統的にツール・ド・フランスは7月最初の土曜日に開幕するので、このこと自体は例年通り。ただし遠隔地開幕となるので、移動日を加えて1日増の24日間での開催とした。そのため7月2日は異例の金曜日。パリにゴールするのは7月25日だ。
話が戻るが、2020年のツール・ド・フランスは東京五輪に配慮して開催日程を通常より1週間早めていて、最終日を7月19日(日)とした。当初の2020東京五輪での男子ロードは開会式翌日の25日(土)に計画されていたので、ツール・ド・フランスで完走を果たした選手も中5日の余裕があった。
自転車男子ロードは五輪で常に最初の決勝種目
五輪では開会式翌日の競技初日に最初の決勝種目として自転車競技男子ロードが開催される。その理由は、町々をつないで走るロードレースは開催都市の全容を世界中に知らせるのにうってつけの種目であるからだ。とりわけ男子ロードは選手数が多く、空撮や併走による映像でその都市の魅力をあますことなく配信するというねらいがある。
これは1年延びて開催される2021年実施の東京五輪にも適用された。つまり五輪がスライドしたことによって五輪男子ロードが開催される日にツール・ド・フランス出場選手は最終日前日を走っているのだ。
●新型コロナウイルス感染拡大以前の大会日程
2020年6月12日〜7月12日 サッカー欧州選手権
2020年6月27日〜7月19日 第107回ツール・ド・フランス
2020年7月25日 東京五輪男子ロード
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2021年7月2日〜25日 第108回ツール・ド・フランス
●新型コロナウイルス感染拡大後の大会日程
2020年8月29日〜9月20日 第107回ツール・ド・フランス
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2021年6月11日〜7月11日 サッカー欧州選手権
2021年7月2日〜25日 第108回ツール・ド・フランス
2021年7月24日 東京五輪男子ロード
東京五輪の新たな競技日程は、基本的に延期前の日程の曜日を合わせてそのまま引き継いだものだ。自転車競技にはロードレース以外にも、トラック・MTB・BMXとあるが、国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長は「今回発表した各種目日程の変更することは不可能だ」と断言している。
大会プログラムを変更できるかと尋ねられたバッハ会長は「ノー」と述べた。「それはあまりにも複雑な意味を持つことになる。我々はすでにすべての利害関係者、つまりツール・ド・フランス主催者とデンマークの開幕ホストシティに伝えている」
2021ツール・ド・フランスは1週間前倒しできない
2021ツール・ド・フランスのグランデパール(開幕地)は、世界のサイクリングシティと言われるコペンハーゲン。デンマークの首都だ。7月2日(金)の開幕を目指して数年前から計画を立てている。新型コロナウイルス感染拡大という特殊事情を理由に、2020年のように1週間前倒しにできないか。これもノーだ。
こともあろうに、1年延期されたサッカー欧州選手権の試合がコペンハーゲンであるのである。
サッカー欧州選手権はいわゆる欧州におけるワールドカップで、4年に一度の開催。2021年に延期された第21回大会は欧州13カ国での分散開催となる。これは当初予定通り。じつはコペンハーゲンでは6月18日にグループBのデンマーク対ベルギー、22日にグループBのデンマーク対ロシア、そして29日には決勝リーグ「ラウンドオブ16」のグルーブD・2位対グルーブE・2位の試合が開催される。
東京五輪を避けてツール・ド・フランスを1週間前倒ししたら、今度はサッカーとぶつかってしまう。コペンハーゲンの警察当局は、2つのスポーツビッグイベントに多くの観客が殺到することを懸念。ツール・ド・フランスを1週間前倒しする案を受け入れることができないという。
「ツール・ド・フランスの経営陣から、2021年にデンマーク開幕予定日について討議する要請を受けたことは認める」と、グランデパール組織委員会のトップでもあるコペンハーゲンのフランク・ジェンセン市長が6月末に国営放送のDRでコメントしている。
以上、これは2021年の話。ツール・ド・フランス主催者はまず2020年大会をどうやって運営しようかに懸命。新型コロナウイルス余波はあまりにも大きい。
🇫🇷ツール・ド・フランス2020特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト
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