子どもたちがいなかったらあきらめていた…東京五輪MTBの今井美穂

第32回オリンピック競技大会(2020/東京)自転車マウンテンバイク競技の日本代表女子選手である今井美穂(CO2bicycle)が1年後の大会に向けて抱負を語った。6月5日13時からオンラインWeb会議サービスのZoomを使って行われた。

今井美穂

「小学校の子どもたちが喜んでくれました。五輪代表に決まったときは学校の廊下でハイタッチ。昨年度に担任したクラスの子どもたちが円陣になってお祭り騒ぎで囲まれました」

群馬県出身として東京五輪の代表選手第1号となった今井。出身は富岡市で、現在は前橋市立新田小の教員を務めながら、平日の夜と週末に練習を続ける。

職場も練習時間にあてられるようにと、今学期からクラス担任を外してくれた。現在は5、6年生に算数や音楽、書写を教える。

勤務先の小学校でNHKや共同通信のインタビューに応える今井美穂 ©JCF

教員になってから自転車に乗り始め、まずシクロクロスで頭角を現してからMTBにも参戦するようになった。急成長の女子選手だけに、海外レース経験はほとんどない。

「五輪代表になれてホッとしています。これまでの1年間は代表に選ばれるためのレースをしてきましたが、大会が1年延期になったことでこれからの1年間はしっかり走るための準備をしていきたいです」

全日本MTB選手権で今井美穂(CO2bicycle)が2連覇 ©2019 JCF

新型コロナウイルス感染拡大による東京五輪の延期もポジティブに考える。

人里離れた山間部で練習するMTBは、人との接触をできるだけ避けろと命じた今回の措置にあまり影響されない。

「仕事をしているので、平日はもともと帰宅後に自宅で2時間ほどのローラー練習だけでした。週末も人のいないところを走ることができるので、これまでとあまり変わらない練習ができました」

今井美穂 ©JCF

前橋市は赤城山や榛名山を見下ろす環境にあり、今井はクルマにロードバイクを積んで郊外まで移動し、長いときで100kmのロード練習をこなす。しかしオフロードを走り込む環境は整っていない。MTBを使っての練習がなかなかできず、テクニカルな部分のスキルアップは今後1年間の課題だ。

「応援してくれる子どもたちがいなかったら、五輪なんてあきらめていたかも知れません。その恩返しとして子どもたちになにかを伝えられたら。いくつになっても夢を追いかける。こういう生き方もあるんだなって」

日本勢として過去最高の成績を修められるように…鈴木雷太コーチ

日本MTBチームの鈴木雷太コーチは、「1996年のアトランタ五輪から採用されて7大会目。まだ新しい種目と言えますが、日本勢として過去最高の成績を修められるように準備していきたい。今井選手はまだ経験が浅いが、多くの声援が後押ししてくれるのでぜひその走りに注目してほしい」と語った。

鈴木雷太コーチ ©JCF

自転車マウンテンバイク競技の補欠選手は男子が平野星矢(ブリヂストンサイクリング)、女子が川口うらら(日本体育大/FUKAYA RACING)。

自転車マウンテンバイク競技で日本が獲得した参加枠はクロスカントリー・オリンピック男子1、クロスカントリー・オリンピック女子1で、どちらも開催国枠として得た。

今井美穂(IMAI Miho)
1987年5⽉29⽇(33歳) 群⾺県富岡市出⾝ ⾝⻑:161cm 体重:54kg
所属:CO2bicycle
出⾝校:東京⼥⼦体育⼤

●東京五輪のホームページ

間違いなくキャリア最後のレース…東京五輪MTBの山本幸平

第32回オリンピック競技大会(2020/東京)自転車マウンテンバイク競技の日本代表男子選手である山本幸平(ドリームシーカーレーシング)が1年後の大会に向けて抱負を語った。6月5日13時から、日本自転車競技連盟が主催するオンラインWeb会議サービスのZoomを使って行われた。

山本幸平 ©JCF

「2月以降は自分の思い描くような日々が送れませんでした」と、新型コロナウイルス感染拡大による余波から切り出した山本。それでも、「五輪が1年伸びてしまったけれど、常にエネルギッシュにこれからの1年の準備期間を過ごしていきたい」と気持ちは途絶えていない。

いまでこそ結婚し、家族も増えたが、ずっと一匹狼だった。
「これまでも長野県松本市を拠点として1人での練習が多かったので、外出禁止で多くのアスリートが活動を制限されているのとは異なり、通常とは変わらない。練習環境も人と出会うことのない山の中ですから。日ごろから変わらないリズムで過ごせたのかなと思う」

遠隔インタービューに臨む山本幸平 ©JCF

それでもスポーツクラブは休業を余儀なくされたので、コアトレーニングをするために自宅の一室を改造してトレーニング機材をそろえたという。

2008年の北京、2012年のロンドン、2016年のリオに続く4大会連続の出場。
「リオ五輪のあとに選手をやめようと思っていたが、リオ五輪の閉会式で演出が次回開催地の東京に変わったときに、自国開催の五輪でも走ってみたいと、鈴木雷太コーチに話したことを覚えています」

山本幸平は11度の全日本チャンピオンに輝いた第一人者だ ©2019 JCF

過去3回の五輪では46位、27位、21位という成績だ。東京五輪では8位入賞を目指す。

「間違いなくボクのキャリア最後のレースとなります。ゴールにたどり着けなくてもいいから、スタートから積極的に行きたい」と決意を語る。

山本幸平 ©JCF

選手としての集大成を迎えるので、競技生活の中でベストパフォーマンスを見せたい。

「少しでも多くの人たちに興味を持っていただけたら。地元北海道で応援してくれる人たちは遠いのでテレビ観戦になると思いますが、できれば生で見てもらい、MTBって楽しいんだなと思ってほしい。それと同時に、若手選手の人たちにバトンを渡せる走りを。彼らが強い日本を作ってくれることを楽しみにしています」

延期により1年の準備期間が増えたと考えたい…鈴木雷太コーチ

日本MTBチームの鈴木雷太コーチは、「新型コロナウイルス感染拡大による延期や外出自粛はだれも経験したことのないこと。延期により1年の準備期間が増えたとポジティブに考え、最高の成績を修められるようにサポートしていきたい」と語った。

鈴木雷太コーチ ©JCF

自転車マウンテンバイク競技の女子代表選手は今井美穂(CO2bicycle)。補欠選手は男子が平野星矢(ブリヂストンサイクリング)、女子が川口うらら(日本体育大/FUKAYA RACING)。

自転車マウンテンバイク競技で日本が獲得した参加枠はクロスカントリー・オリンピック男子1、クロスカントリー・オリンピック女子1で、どちらも開催国枠として得た。

⼭本幸平(YAMAMOTO Kohei)
1985年8⽉20⽇(34歳) 北海道幕別町出⾝ ⾝⻑:182cm 体重:70kg
所属:Dream Seeker MTB Racing Team
出⾝校:北海道帯広農業⾼

●東京五輪のホームページ

順当にいけば金…梶原悠未ら最強6選手が東京五輪に挑む

第32回オリンピック競技大会(2020/東京)自転車トラック競技日本代表となる6選手が6月4日に発表された。自転車競技の中で唯一「開催国枠」が与えられなかったトラック種目は、出場枠を獲得するために総力で世界と戦い、合計7種目で出場権を獲得した。

2019世界選手権の女子オムニアムで優勝した梶原悠未 ©More CADENCE

2020東京五輪で日本が出場できる自転車トラック種目とその人数

男子スプリント 1+(1)=2選手(男子ケイリンとのかけ持ち)
男子ケイリン  1+(1)=2選手(男子スプリントとのかけ持ち)
男子オムニアム  1選手
女子スプリント (1)選手
女子ケイリン  1選手
女子マディソン 2選手編成の1チーム(うち1選手は女子オムニアムとのかけ持ち)
女子オムニアム (1)選手(女子マディソンとのかけ持ち)
※カッコ内数字は他種目における参加資格獲得によるエントリー
※マディソンは2人1 チームで実施する種目

世界選手権優勝の梶原悠未が金メダルの最有力

梶原悠未が世界チャンピオンの称号である5色の虹色ジャージ、アルカンシエルを着用する ©JCF

自転車競技の五輪メダルは過去に銀1、銅3個。すべてトラック短距離男子による獲得だ。2004年のアテネ、2008年の北京は外国人コーチの功績によりメダルをゲット。ところがその後は契約問題がこじれて日本人コーチを起用する時代もあった。しかし東京五輪を見すえて実績のある外国人指導者と契約。短距離ヘッドコーチはブノア・ベトゥ、中距離ヘッドコーチはクレイグ・グリフィン。

地元開催となる東京では、日本自転車界の悲願である金メダル獲得が至上命令なのである。

日本自転車競技の五輪メダル
1984ロサンゼルス 坂本勉(スプリント)銅
1996アトランタ 十文字貴信(1kmタイムトライアル)銅
2004アテネ 長塚智広・伏見俊昭・井上昌己(チームスプリント)銀
2008北京 永井清史(ケイリン)銅

2020世界選手権ケイリン2位の脇本雄太

脇本雄太 ©JCF

競輪選手の脇本雄太は、前回大会となる 2016リオ五輪にケイリン種目で出場している。2019年にブリヂストンサイクリングに加入し、トラック競技のアジア選手権を同種目で2連覇、2020年には、世界最高峰となるトラック競技の世界選手権で銀メダルを獲得するなど、日本発祥のケイリン種目でのメダル獲得が期待される。

新田祐大 ©JCF

小林優香が女子選手として初めて競輪に

太田りゆ(ブリヂストンサイクリング)とともに、日本女子ケイリン史上初の出場枠獲得に大きく貢献したのが女子ケイリンの小林優香(ドリームシーカーレーシング)。2019‐20 年シーズンでは、トラックのアジア選手権の女子ケイリン種目で銀メダル、女子スプリント種目で銅メダルを獲得。その後行われたトラックワールドカップシリーズ戦第3戦の香港大会でも女子ケイリン種目で銅メダルを獲得した。

小林優香 ©JCF

世界チャンピオンの梶原悠未を中心に東京は動く?

金メダル獲得が期待される筆頭となるのが梶原悠未(かじはらゆうみ=筑波大大学院)だ。2020年2月28日にドイツのベルリンで開催された2020UCI世界選手権において、女子オムニアムで金メダルを獲得した。自転車トラック競技では日本女子初。同種目では男女を合わせて日本初のメダル獲得。1987年の本田晴美、俵信之以来33年ぶりの世界タイトルとなる。

世界選手権と五輪は世界のトップクラスばかり同じ顔ぶれで参加してくる。もっと正確に言えば、出場枠獲得が厳しい五輪のほうがトップ選手が出場枠を獲得できず不参加となる傾向にあるので、頂点に立つのはわずかにたやすいとされる。

それだけに梶原にとっては願ってもないチャンスとなる。アクシデントがなければ必ず金メダルに絡む走りを見せてくれるはずだ。

オムニアムとは

4つの種目の合計ポイントにより順位が決定され、1日のうちに4種目を実施する
実施順は下記の番号通り
1) スクラッチレース
2) テンポレース
3) エリミネーション
4) ポイントレース

リオオリンピックまでは2日間開催だったが、ルール改正により4種目1日開催となった。2012年ロンドン五輪大会からオリンピック正式種目。陸上の十種競技とも形容され、ゲーム性が高く大逆転チャンスもありトラックの人気種目である。

アジア敵なしの橋本英也もオムニアムでメダルを狙う

橋本英也 ©JCF

競輪選手の橋本英也は2018年にブリヂストンサイクリングに加入し、同年のトラックのアジア選手権および4年に1度のアジア大会のオムニアム種目で優勝。2019‐20年シーズンでは、トラックのアジア選手権を同種目で3連覇。さらにトラックワールドカップ第5戦となるオーストラリア大会で銅メダルを獲得するなど、開催国枠のない自転車競技トラックにおいて日本チームのオリンピック出場枠獲得に大きく貢献した。

中村妃智 ©JCF

●日本自転車競技連盟のホームページ

新田祐大、梶原悠未ら6選手が東京五輪トラック代表に

新田祐大、脇本雄太、小林優香、橋本英也、梶原悠未、中村妃智の6選手が東京五輪の自転車競技トラック代表選手に選出された。日本自転車競技連盟が6月4日11時、オンラインWeb会議サービスのZoomを使って発表した。

上段左から脇本雄太、新田祐大、小林優香、下段左から橋本英也、梶原悠未、中村妃智

新田祐大(男子スプリント、男子ケイリン)

「新型コロナウイルス感染拡大によって東京五輪が1年延期になりましたが、金メダルまでの時間ができたという気持ちです。モチベーションとしても高く保てると感じています。2021年の金メダル獲得だけを目指していきたい」

リモート記者発表に出演する新田祐大 ©More CADENCE

新田祐大(NITTA Yudai)
1986年1月25日(34歳) 福島県出身 身長:173.0cm 体重:88.0kg 血液型:O型
東京オリンピック出場予定種目:スプリント・ケイリン
所属:一般社団法人日本競輪選手会福島支部(S級S班) ドリームシーカーレーシングチーム
出身校: 福島県立白河高
専門種目:トラックレース(短距離) 日本自転車競技連盟トラック短距離強化A指定選手
UCIランキング: 男子スプリント12位

新田祐大 ©JCF

脇本雄太(男子ケイリン、男子スプリント)

「中止かなと思って落ち込んだ時期もありましたが、2大会連続で五輪代表に選出されてうれしいです。2016年のリオ五輪では競輪で情けない成績でしたが、東京では必ず金メダルを」

脇本雄太 ©More CADENCE

脇本雄太(WAKIMOTO Yuta)
1989年3月21日(31歳) 福井県出身 身長:180.0cm 体重:82.0kg 血液型:A型
東京オリンピック出場予定種目:ケイリン・スプリント
所属:一般社団法人日本競輪選手会福井支部(S級S班) チームブリヂストンサイクリング
出身校: 福井県立科学技術高
専門種目:トラックレース(短距離) 日本自転車競技連盟トラック短距離強化A指定選手
UCIランキング: 男子ケイリン4位

脇本雄太 ©JCF

小林優香(女子ケイリン、女子スプリント)

「五輪に出場するためにバレーボールから転向し、競輪学校に入学した8年前に東京大会開催が決まりました。2020年の東京五輪延期が決まったときは残念に思いましたが、コーチに助けてもらいながらしっかりと準備をしていきたいです。長所であるスピード持久力を伸ばすとともに、短所である加速力をつけていきたい」

小林優香 ©More CADENCE

小林優香(KOBAYASHI Yuka)
1994年1月18日(26歳) 佐賀県出身 身長:165.0cm 体重:67.0kg 血液型:A型
東京オリンピック出場予定種目:ケイリン・スプリント
所属:一般社団法人日本競輪選手会福岡支部(L級1班) ドリームシーカーレーシングチーム
出身校: 熊本市立必由館高
専門種目:
トラックレース(短距離) 日本自転車競技連盟トラック短距離強化A指定選手
UCIランキング: 女子スプリント20位

小林優香 ©JCF

橋本英也(男子オムニアム)

「東京五輪が延期になって、これはチャンスだなと思いました。今年の世界選手権の結果をふまえると、このままではメダル獲得は無理だなと思っていました。2021年に開催される大会では(4種目の複合競技であるオムニアムで)最初の3種目で合計100点を取り、最後のポイントレースで金メダルが取れるように走りたい」

橋本英也 ©JCF

橋本英也(HASHIMOTO Eiya)
1993年12月15日(26歳) 岐阜県出身 身長:180.0cm 体重:75.0kg 血液型:A型
東京オリンピック出場予定種目:オムニアム
所属:一般社団法人日本競輪選手会岐阜支部(A級2班) チームブリヂストンサイクリング
出身校: 鹿屋体育大
専門種目:トラックレース(中距離) 日本自転車競技連盟トラック中距離強化A指定選手
UCIランキング: 男子オムニアム9位


梶原悠未(女子オムニアム、女子マディソン)

「強くなるために練習する時間が持てたと思っています。自粛期間中も私の原動力は母の存在です。全力でサポートしてくれるので、それに応えるために頑張ろうと努力してきました。日本代表としての誇りをもって必ずオムニアムで金。有言実行を胸に臨みたいです」

梶原悠未 ©More CADENCE

梶原悠未(KAJIHARA Yumi)
1997年4月10日(23歳) 埼玉県出身 身長:155.0cm 体重:56.0kg 血液型:O型
東京オリンピック出場予定種目:オムニアム、マディソン
所属: 筑波大大学院(在学中)
専門種目:トラックレース(中距離) 日本自転車競技連盟トラック中距離強化A指定選手
UCIランキング:女子オムニアム1位 女子マディソン個人ランキング33位(チームランキング:日本15位)

オムニアムの現世界チャンピオン、梶原悠未 ©JCF

中村妃智(女子マディソン)

「東京五輪延期には動揺しましたが、この段階で代表選手を選考してもらえ、プレッシャーを感じながらも頑張っていきたい。五輪は小さいころからテレビで見ていたので、その盛り上げ役の一躍を担えるようになりたいです」

中村妃智 ©More CADENCE

中村妃智(NAKAMURA Kisato)
1993年1月7日(27歳) 千葉県出身 身長:165.5cm 体重:67.0kg 血液型:AB型
東京オリンピック出場予定種目:マディソン
所属: 日本写真判定株式会社
出身校: 日本体育大
専門種目:トラックレース(中距離) 日本自転車競技連盟トラック中距離強化A指定選手
UCIランキング: 女子マディソン個人ランキング27位(チームランキング:日本15位)

中村妃智

補欠選手
短距離種目=男子補欠1 深谷知広、男子補欠2 河端朋之、女子補欠 太田りゆ
中距離種目=男子補欠 窪木一茂、女子補欠 古山稀絵

●日本自転車競技連盟のホームページ

今井美穂は初、山本幸平4大会連続…東京五輪MTB代表に

第32回オリンピック競技大会(2020/東京)の自転車マウンテンバイク競技日本代表選手に山本幸平(ドリームシーカー)と今井美穂(CO2bicycle)が選出された。日本自転車競技連盟が6月3日に発表した。山本は2008北京、2012ロンドン、2016リオに続く4大会連続。今井は初選出。

東京五輪MTB代表の今井美穂(左)と山本幸平
山本幸平
今井美穂

期待に応えるため練習に励み、本番で最高の走りを…山本幸平

「東京オリンピック内定が決まったこと、今までの競技人生の中でも一番うれしい報告でした。まずは、ここまで応 援と支援していただいた多くの方への感謝の想いを伝えたいと思います。本当に、ここまでサポートしてくれてありがとうございます」と山本。

山本幸平

「山本ファミリーや妻と娘のサポートがなければ、リオ五輪後から競技者としてのメンタルを保つことができなかったと思います」

「感染症問題で1年延期となりましたが、僕が1年前から日本代表に内定をいただいたことはとても素晴らしく、本番に向けて準備を確実に進められる期間を与えてくれたことに感謝します。そして、日本代表として、みんなの期待に応えるために、練習に励み、本番で最高の走りをします。 それと同時に、残された期間で若手選手と切磋琢磨してみんなで強い日本チームを作り上げ、今後のマウンテンバイクの発展に貢献していきたいです」

今から胸が高まり、楽しみでいっぱい…今井美穂

「はじめに、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、医療機関に大きな影響が及んでおりますが、最善を尽くして感染予防や診療などの業務に携わり、地域医療を支えてくださっている医療従事者の方々や、私たちの生活を支えてくださっている多くのみなさまに、心より敬意を表します」と今井。

今井美穂

「2020東京オリンピックMTB−XCO代表選手として、正式に内定をいただきました。 幼い頃 から漠然と「オリンピック選手になりたい」という夢を描いてきましたが、自国開催でもある記念すべき東京オリンピックの代表選手に選出され、幼い頃からの夢を叶えることができたことを本当にうれしく思っております。 新型コロナウイルス感染症の影響により、開催が1年間延期という形になってしまいましたが、全世界においてコロナウイルス感染症が1日でも早く終息されることを願いながら、この延期された期間をプラスにとらえ、自分自身のフィジカル面・スキル面をともに向上させることができるよう、トレーニングを重ねていきたいと思います」

「自国開催の東京オリンピック。 たくさんの方に応援してもらいながら走れることを想像すると、今から胸が高まり、楽しみでいっぱいです。みなさんに最高の走りをお見せすることができるように1日1日を大切に、準備をしていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします」


MTB選手選考について日本自転車競技連盟は選考基準発表から約2年間の実績と、さらに直近1年間の成績(UCIポイント)を基準とするとしてきた。しかし新型コロナウイルスの影響による2020年のオリンピック延期、そして3月15日以降UCIポイントの付くすべてのレースは停止となり、 選考期間は5 月28 日を待たずして約75 日間のチャンスが失われた。

これらの影響を考慮した選考期間の延長、また5月15日付けのUCI追加発表を受けた2021シーズンのワールドカップ2大会追加なども検討してきたというが、
・資格基準期間2年間の約90%、個人ランキング換算期間1年間の約80%はすでに消化されていて、一定の判断ができる期間と判断できること
・今後の世界的な活動計画も定まらない中、また、安全性についても不安のある遠征の助長を促しかねない期間設定は得策ではないこと
・期間延長を行うよりも選考を早期に決着させることが選手への配慮、安心感を与え、1年後の大会に向けて最大限調整することができること

これらのことから当初の基準に従って、競技者の選考したという。

●日本自転車競技連盟のホームページ

東京五輪の1年延期でツール・ド・フランスと日程重複する問題が

2020東京五輪が1年延期され、2021年7月23日(金)から8月8日(日)までの日程で開催されることが発表された。これにより世界最大の自転車レース、ツール・ド・フランスの開催と重複する事態となり、ツール・ド・フランス側がすでに発表している日程を変更する必要に迫られている。

コペンハーゲンで開幕する2021ツール・ド・フランスのコースプレゼンテーションをするクリスティアン・プリュドム ©ASO_G.Demouveaux

2021年のツール・ド・フランスはデンマークのコペンハーゲンで開幕することから移動日を加味した1日増の24日間で行われる。7月2日(金)にコペンハーゲンでのタイムトライアルで開幕し、同国で3日間を過ごし、大会4日目の5日(月)に選手らは空路で移動。6日(火)からフランスでのステージとなる予定だ。

現在発表されているのは最初の3日間と、最終日が7月25日(日)となること。コース全容は2020年10月中旬に発表されるはずだ。

2020年は東京五輪にツール・ド・フランス側が配慮

2020年のツール・ド・フランスは東京五輪に配慮して開催日程を通常より1週間早めていて、6月27日(土)から7月19日(日)まで開催される予定で現在も新型コロナウイルス感染の状況を見守っている。当初の2020東京五輪での男子ロードは開会式翌日の25日(土)に計画されていたので、ツール・ド・フランスで完走を果たした選手も中5日の余裕があった。

©A.S.O. / Thomas-MAHEUX

自転車男子ロードは五輪での最初の決勝種目が慣例

近年の五輪では開会式翌日の競技初日に最初の決勝種目として自転車競技男子ロードが開催される。その理由は、町々をつないで走るロードレースは開催都市の全容を世界中に知らせるのにうってつけの種目であるからだ。とりわけ男子ロードは選手数が多く、空撮や併走による映像でその都市の魅力をあますことなく配信するというねらいがあった。

これは2020年に開催予定だった東京五輪でも適用され、1年延びて開催される2021年実施の東京五輪でも同様だ。つまり五輪がスライドしたことによって五輪男子ロードが開催される7月24日(土)は、このままだとツール・ド・フランス出場選手は最終日前日を走っているということになる。

五輪で行われる自転車競技はロード以外にもトラック、MTB、BMXがあり、半月以上の日程で開催される五輪の全期間で競技が行われる。仮にロードが五輪開幕直後に組み込まれる日程でなければ、この問題は解決できることになるのだが。

国際自転車競技連合(UCI)は五輪延期に肯定的で、日程調整にも協力を惜しまない。ASOとしてもそうでありたいはずだが、すでに発表されているデンマークでの3日間の計画を修正することは容易なものではない。ツール・ド・フランスという観光アイテムを重視するフランス国内のコースならまだしも、他国におじゃまするだけに関係者はその調整に頭を抱えているかも知れない。

●ツール・ド・フランスのホームページ