大谷翔平はアスリート最優秀賞10傑ならず…棒高跳びデュプランティスと体操バイルズ

2024年に最も輝いたスポーツ選手を選出するアスリートオブザイヤーが12月30日に発表され、男子は棒高跳世界記録保持者のアルマンド・デュプランティス(スウェーデン)が、女子は精神障害を抱えつつパリ五輪で金メダル3個を獲得したシモーネ・バイルズ(米国)が受賞した。

棒高跳びのアルマンド・デュプランティス(左)と体操のシモーネ・バイルズ ©Getty Images

スイスのローザンヌに拠点がある同協会が111カ国・518人のジャーナリストの投票結果を発表した。デュプランティスは過去2年の2位で、今回が初受賞。バイルズは5回目の受賞。

日本選手は最優秀男子にプロ野球の大谷翔平と体操の岡慎之助、女子にフィギュアスケートの坂本花織がノミネートされていたが、トップテンに名前はなかった。2020年にはテニスの大坂なおみが最優秀女子アスリートに選ばれている。

デュプランティス…世界記録更新10回、金連覇、世界王者という破竹の25歳

記録破りのシーズンとなったデュプランティスは603ポイントで年間最優秀男子アスリート部門を席巻。2022年と2023年のAIPS投票で2位だったが、初めてこの権威ある賞を獲得した。

世界室内陸上競技選手権、欧州陸上競技選手権、パリ五輪でタイトルを守ったデュプランティス。6.24m、6.25m、6.26mと世界記録を次々と塗り替え、室内・屋外で無敗のシーズンを送った。

パリ五輪では、6.25mを成功させて9度目の世界記録を樹立。すでに6.00mで東京五輪に続く金メダル獲得を決めていて、1950年代以降男子棒高跳で初の連覇を果たしていた。2週間後には、ポーランドのシレジア・ダイヤモンド・リーグ大会で、キャリア10度目の世界記録を更新した。初めて世界記録を更新したのは2020年2月で、それ以降は世界の頂点に君臨し続けている。

セルビアのテニス界の象徴的存在ノバク・ジョコビッチは37歳で男子シングルスで最年長の五輪金メダリストとなり、生涯ゴールデンスラムを達成した5人目のテニス選手となったが、368ポイントで2位に終わった。同年にツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリア、世界選手権の「三冠」を獲得した史上3人目の選手、スロベニアのタデイ・ポガチャルは294ポイントで3位になった。

2024 AIPS男子アスリートオブザイヤー

1. アルマン・デュプランティス(スウェーデン)– 陸上競技 – 603
2. ノバク・ジョコビッチ(セルビア)– テニス – 368
3. タデイ・ポガチャル(スロベニア)– 自転車競技 – 294
4. レオン・マルシャン(フランス)– 水泳 – 246
5. ヴィニシウス・ジュニオール(ブラジル)– サッカー – 226
6. カルロス・アルカラス(スペイン)– テニス – 220
7. ラミネ・ヤマル(スペイン)– サッカー – 211
8. ヤニック・シナー(イタリア)– テニス – 180
9. ミハイン・ロペス(キューバ)– レスリング – 172
10. ロドリ(スペイン)– サッカー – 144

バイルズ…東京の途中棄権から精神的に復活。五輪と世界選手権の獲得メダルは30個

パリ五輪で金メダル3個と銀メダル1個を獲得したバイルスは、703ポイントを獲得して5度目の年間最優秀女子アスリート賞を手中にした。2年連続でFIFA最優秀女子選手に選ばれたスペイン、バルセロナのミッドフィールダーであるアイタナ・ボンマティ(337ポイント)と、セントルシア初の五輪100m金メダリスト、200m銀メダリストのジュリアン・アルフレッド(263ポイント)を抑えた。

2024 AIPS女子アスリートオブザイヤー

1. シモーネ・バイルズ(米国)– 体操 – 703
2. アイタナ・ボンマティ(スペイン)– サッカー – 337
3. ジュリアン・アルフレッド(セントルシア)– 陸上競技 – 263
4. シファン・ハッサン(オランダ)– 陸上競技 – 226
5. マルタ(ブラジル)– サッカー – 196
6. ケイティ・レデッキー(米国)– 水泳 – 187
7. シフリン・ミカエラ(米国)– アルペンスキー – 176
8. ヤロスラバ・マフチク(ウクライナ)– 陸上競技 – 165
9. ベアトリス・チェベト(ケニア)– 陸上競技 – 157
10. イガ・シフィオンテク(ポーランド)– テニス – 144

最優秀チーム賞はアルゼンチンサッカー、大会はパリ五輪

2024年のAIPS最優秀チームはアルゼンチンサッカー ©Carmen Mandato/Getty Images

団体賞と大会も投票され、最優秀チーム賞はアルゼンチンサッカーナショナルチーム、大会はパリ五輪が1位に選ばれた。

AIPSはスポーツの国際大会を報道する記者・カメラマンが所属する国際団体で、年末に1年間で最も活躍した選手らを投票によって選出するのが恒例。スポーツ界で輝いたアスリートを議論することに特化した最も国際的な世論調査と言われる。

世界各国でスポーツ大会を取材する記者らが投票するため、日本で報道されることが多いスポーツ選手が上位にランクされることはまれで、サッカー、陸上競技、テニスなど世界中で行われているスポーツシーンで活躍する選手がラインナップされる。

●AIPSの詳細ページ

2024アクセスランキング1位は世紀の6位羽生結弦…プレスポーツ

スポーツコンテンツを集めたPRESSPORTS(プレスポーツ)はおかげさまで7周年。最も読まれた記事のトップテンを集計しました。 これからもさまざまな分野でのホットな情報をお送りしていきます。

【1位】過去100年のベストアスリートにS・ウィリアムズとアリ…羽生結弦が6位

テニスのセレーナ・ウィリアムズ(左)とボクシングのモハメド・アリ

国際スポーツプレス協会(AIPS)が1924年から2024年までの100年間におけるベストアスリートを投票により決定し、パリ五輪の真っただ中に発表。注目は日本のプロスケーター羽生結弦さんが6位に食い込んだことでした。

自転車ニュースの取り扱いが多いプレスポーツでは異色の掲載でしたが、AIPS会員として実際の投票に加わり、即時に報道したことで日本の羽生さんファンの目にとまる記事をお送りできたからだと思います。

【2位】イエローハットがワイズロードの全株式取得で子会社化

ワイズロード新橋店

イエローハットが、スポーツ自転車チェーン店のワイズロードを運営するワイ・インターナショナルの全株式を取得し、子会社化することを発表。自転車産業界でも大きなニュースとなりました。イエローハットにより全国展開し、良質のスポーツバイクがどこでも手に入る時代に期待したいです。

【3位】キャノンデールが日本を撤退…10月からの販売はインターテックが継承

キャノンデールファクトリーレーシング(CFR)による実走チェック

ブランド創業50周年を迎えた最も歴史の長い米国キャノンデールでしたが、日本法人のキャノンデール・ジャパンでの販売と各種サービスが2024年9月30日で終了。自転車関連商品の輸入・販売商社インターテックに事業移管されました。

【4位】新しいスマホにGarminデバイスがペアリングできない時の解決法

スマホを買い換えるときはLINEのようにGarminデバイスもあらかじめ対処しておく必要がある

新しいスマホを入手して、手持ちのGarminデバイスを同期しようとするとたいてい失敗します。実は奥深い理由があるので、しっかりとレポートしています。息の長い人気コラムです。

【5位】安治川部屋公認の頑丈で安心・快適な高耐荷重設計自転車発売へ

大相撲・安治川部屋公認のデュラシック100

丈夫で長持ちするお買物自転車がほしい。自転車チェーン店と相撲部屋がコラボして企画・発売しました。

【6位】新幹線輪行…特大荷物スペースを予約するなど5つのテク

これが東海道新幹線の特大荷物スペース。2列席と3列席の最後尾のうしろにある

新幹線や特急などに輪行袋を持ち込む際は、路線によって事情が異なるので要注意。予約などのやり方をまとめました。

【7位】連載開始=ヒマラヤにある未踏峰プンギに日本の学生隊が挑戦

HCから見上げたプンギ山頂

ヒマラヤの未踏峰に初登頂した学生5人が持ち回りで執筆する連載記事は、現在も継続中。その生々しいアタックの模様や、現地で見たネパール山岳ビジネスなどをレポートしています。

【8位】海の向こうに3000m級の山岳が望める絶景富山湾サイクリング

立山連峰がかすかに見える比美乃江公園

日本のナショナルサイクルルートを実走してレポートする記事のシリーズです。Cycling Route特集も好評です。

【9位】アウェイでも負けずに金を…パリ五輪初陣を飾る柔道角田夏実が意欲

パリ五輪のマスコット、フリージュと柔道日本代表の角田夏実

2024パリ五輪で日本勢最初のメダル獲得者となるのは、柔道48kg級の角田夏実だと予想しています。

【10位】脂肪が一番燃える心拍数…40歳で安静時60なら144、50歳なら137

2018年の記事ですが、相変わらず読まれています。脂肪が最も効率的に燃焼する計算式を紹介しているので、だれでも数値が簡単に割り出すことができ、無駄のないフィットネスに役立ちます。

羽生結弦の並外れた人生とキャリアをイタリア紙が独占インタビュー

イタリアの大手日刊紙『コリエレ・デラ・セラ』がプロスケーターの羽生結弦さんのキャリアと人間性を独占インタビューする形式で報じた。執筆は同紙文化部のコスタンツァ・リッツァカーサドルソーニャ。

羽生結弦の魅力を語ったイタリア紙の特集を紹介したAIPSページ。平昌2018冬季五輪で金メダルを獲得した時の画像をピックアップ。撮影はハリー・ハウ/ゲッティイメージズ

国際スポーツプレス協会(AIPS)のウエブサイトがこの記事をピックアップ。同協会は、過去100年間で最も偉大な男性アスリート10人の1人(6位)に羽生さんを選出している。

ミラノ、2024年12月6日。私が初めて羽生結弦のスケートに惚れ込んだのは、フランスのニースで開催された2012年世界選手権のときだった。彼は17歳で、バズ・ラーマン監督の『ロミオ+ジュリエット』に合わせて滑っていた。彼の輝きと決意を私は覚えている。彼は音楽と、自分が演じているキャラクターと完全に一体化しており、ある時点で滑ってすぐに立ち上がった。それは振り付けの一部のようだった。誰もが狂喜し、彼を応援した。解説者が述べたように、彼はまさにロミオだった。(記事冒頭を抜粋)

●The extraordinary life and career of Yuzuru Hanyū, as seen by Italy’s Corriere della Sera

過去100年のベストアスリートにS・ウィリアムズとアリ…羽生結弦が6位

国際スポーツプレス協会(AIPS)が1924年から2024年までの100年間におけるベストアスリートを投票により決定し、発表した。パリのユネスコ本部で行われたAIPS100周年記念式典で発表された画期的な表彰で、パリ五輪の真っただ中に、米国のテニス界のレジェンド、セリーナ・ウィリアムズと米国のボクサー、モハメド・アリが今世紀最高のアスリートとして表彰された。

テニスのセレーナ・ウィリアムズ(左)とボクシングのモハメド・アリ

この名誉ある栄誉は、2024年7月2日から26日までAIPS Mediaのウェブサイト(www.aipsmedia.com)で開催された広範なオンライン投票によるもの。投票には世界137カ国から913人のスポーツジャーナリストが参加した。このイニシアチブは、AIPSが1924年から2024年までの100周年を祝うにあたり、アスリートが前世紀に世界のスポーツ文化に与えた深い影響を祝うもの。

TOP 10 FEMALE ATHLETES OF THE CENTURY:

1. Serena Williams (USA), Tennis
2. Nadia Comăneci (Romania), Gymnastics
3. Simone Biles (USA), Gymnastics
4. Nawal El Moutawakel (Morocco), Athletics
5. Steffi Graf (Germany), Tennis
6. Yelena Isinbayeva (Russia), Gymnastics
7. Marta Vieira Da Silva (Brazil), Football
8. Tirunesh Dibaba (Ethiopia), Athletics
9. Fanny Blankers-Koen (The Netherlands), Athletics
10. Margaret Abbott (USA), Golf

TOP 10 MALE ATHLETES OF THE CENTURY:

1. Muhammad Ali (USA), Boxing
2. Usain Bolt (Jamaica), Athletics
3. Michael Jordan (USA), Basketball
4. Edson Arantes do “Pelé” Nascimento (Brazil), Football
5. Roger Federer (Switzerland), Tennis
6. Yuzuru Hanyu (Japan), Figure Skating
7. Michael Phelps (USA), Swimming
8. Diego Maradona (Argentina), Football
9. Franz Beckenbauer (Germany), Football
10. Zinedine Zidane (France), Football

●国際スポーツプレス協会の詳細ページ

2022アスリートオブザイヤーは男女ともサッカー選手…プテジャスとメッシ受賞

2022年に最も輝いた選手を選出するアスリートオブザイヤーは、サッカー男子選手のリオネル・メッシ(アルゼンチン)と同女子のアレクシア・プテジャス(スペイン)が選出された。テニスの大坂なおみが日本選手として唯一ノミネートされたが、女子部門の7位だった。

2022アスリートオブザイヤーのアレクシア・プテジャス(左)とリオネル・メッシ

AIPS・国際スポーツプレス協会に所属する世界各国のスポーツ記者が投票するもので、113カ国・420人が投票した。

プテジャスは2年連続バロンドール受賞に続く戴冠

女子アスリートオブザイヤーに初めて選出されたプテジャスは、FCバルセロナ所属のミッドフィールダー。2021、2022とサッカー最優秀選手のバロンドールを受賞している。現在は前十字靭帯(ACL)の負傷からの回復を目指している。

AIPS Best Female Athlete of 2022(得票と得票率)
1. PUTELLAS ALEXIA (Football, Spain – 452 votes (11,96%)
2. LEDECKY KATIE (Swimming, USA) – 295 votes (7,80%)
3. ROJAS YULIMAR (Athletics, Venezuela) – 243 votes (6,43%)
4. MCLAUGHLIN SYDNEY (Athletics, USA) – 238 votes (6,30%)
5. FRASER-PRYCE SHELLY-ANN (Track and Field, Jamaica) – 217 votes (5,74%)
6. SHIFFRIN MIKAELA (Alpine Skiing, USA) – 200 votes (5,29%)
7. OSAKA NAOMI (Tennis, Japan) – 172 votes (4,55%)
8. WILLIAMS SERENA (Tennis, USA) – 170 votes (4,50%)
9. KIPYEGON FAITH (Athletics, Kenya) – 162 votes (4,29%)
10. JABEUR ONS (Tennis, Tunisia) – 154 votes (4,07%)

AIPS Best Male Athlete of 2022(得票と得票率)
1. MESSI LIONEL (Football, Argentina) – 962 votes (25,45%)
2. DUPLANTIS ARMAND (Athletics, Sweden) – 373 votes (9,87%)
3. MBAPPE’ KYLIAN (Football, France) – 366 votes (9,68%)
4. BENZEMA KARIM (Football, France) – 298 votes (7,88%)
5. MILÁK KRISTÓF (Swimming, Hungary) – 189 votes (5,00%)
5. VERSTAPPEN MAX (Formula 1, The Netherlands) – 189 votes (5,00%)
7. KIPCHOGE ELIUD (Athletics, Kenya) – 155 votes (4,10%)
8. KOPASZ BÁLINT (Canoeing, Hungary) – 135 votes (3,57%)
9. FEDERER ROGER (Tennis, Switzerland) – 124 votes (3,28%)
10. NADAL RAFAEL (Tennis, Spain) – 118 votes (3,12%)

2020アスリートオブザイヤーはロベルト・レバンドフスキ(左)と大坂なおみ

●国際スポーツジャーナリスト協会の詳細ページ

2022アスリートオブザイヤー…日本勢のノミネートは大坂なおみのみ

2022年に最も輝いた選手を選出するアスリートオブザイヤーに、テニスの大坂なおみが日本選手として唯一ノミネートされた。AIPS・国際スポーツプレス協会に所属する世界各国のスポーツ記者が投票するもので、2022年12月末に今季の最優秀選手が発表される。

2021年の同賞には、男子がサッカーのロベルト・レバンドフスキ(ポーランド)、女子が陸上競技のエレイン・トンプソンヘラ(ジャマイカ)が最優秀選手として選出された。

大坂なおみは2020年に日本勢として初めてアスリートオブザイヤーに選ばれた。116カ国から422人のスポーツジャーナリストが2020年に最も活躍したスポーツ選手に投票。男子はレバンドフスキだった。

2022アスリートオブザイヤー女子のノミネート選手

同賞は男子、女子、チーム、大会の4部門があり、最優秀選手やチームなどを選出する。最優秀大会部門は、新型コロナウイルス感染拡大により主要大会が軒並み中止となった2020年は外されたが、復活した。

アスリートオブザイヤーは世界各国のスポーツ記者が選出するもので、国際的な視点で評価されるため、日本国内の報道の比重と差異がある。ノミネートされた選手は日本ではあまり報じられないスポーツの競技者が多い傾向にあり、日本選手の候補者リスト入りは例年1〜2選手とそれほど多くなかった。

2022アスリートオブザイヤー男子のノミネート選手

2021年は米大リーグの大谷翔平、過去にはフィギュアスケートの羽生結弦、スピードスケートの小平奈緒らがノミネートされた。

●国際スポーツジャーナリスト協会のホームページ