日用品の流通を情報インフラで支えるプラネットが「自転車」に関する意識調査を2021年7月30日から8月3日までインターネットで実施し、4000人から回答を得た意識調査を発表した。自転車で気分転換できるのは男性が多い。電動アシスト車の利用者は2割に。無事故の人は4割だが、保険未加入者も4割などが明らかになった。
自転車 「乗れるけど日常的に使用しない」が半数
「あなたは自転車をどのくらいの頻度で使用しますか」(図表1)と聞いたところ、全体で50.0%の人が「乗れるが日常的に使用しない」と回答しました。面白いのは「ほぼ毎日」と回答した人が全体では2位(10.9%)になっている点で、自転車は全然乗らない人と頻繁に乗る人の差が大きい乗り物と言えそうです。
また、「乗れない」と回答した人は全体では8.0%となっていますが、男女で差が大きく、男性は3.2%、女性は12.7%と10ポイント近い差があります。さらに、年代別で見ると、男性は年代が上のほうが割合が低く、女性は年代が上のほうが割合が高いという、逆の傾向がありました。
「 自転車で気分転換 」 は男女で大きな差
普段自転車に乗る人はどんな用途で使っているのでしょう。「あなたが自転車を使用する目的を教えてください」(図表2)と聞いたところ、最も多かったのは「買い物」と回答した人で、全体では85.0%でした。ただ、男性が79.8%、女性が90.9%と、約10ポイントの開きがあります。
全体で2位となっている「気分転換やリフレッシュ(サイクリング・ポタリングなど)」を挙げたのは男性が34.0%、女性が14.0%と、男女が逆転し、差は拡大しています。一方で、全体で3位の「通勤・通学」は男性が25.2%、女性が22.8%と、ほとんど差がありません。「気分転換やリフレッシュ(サイクリング・ポタリングなど)」と回答した男性を年代別に見ると(図表3)、最も割合が高かったのが30代の41.6%で、70代以上(38.6%)、60代(36.5%)と続きます。意外にも20代は25.3%と、 性のなかでは年代別で最も低い割合ですが、正反対に女性だと20代が年代別で最多(17.3%)となっています。
「子どもの送迎」と回答した人は30代・40代に集中しています(図表未掲載)。女性・30代は24.2%で、約4人に1人と高い水準になっており、40代でも10.7%いました。一方、男性は30代が7.9%、40代が7.6%です。 30代男女の差は育休の取得に差があることの表れなのかもしれません。
「電動アシスト自転車」使用者は2割に迫る
「あなたが使用している自転車の種類を教えてください」(図表4)という質問で最も多かったのは「シティサイクル(ママチャリなど)」(70.4%)でした。2位の「電動アシスト自転車」は19.8%なので、圧倒的な差です。とはいえ、「電動アシスト自転車」を利用している人が2割を超えているというのは、少し前までなら考えられなかったのではないでしょうか。
上位2つは女性のほうが割合が高いのですが、それ以下の項目では2倍弱から7倍弱まで男性のほうが大差をつけて高い所有率となっていて、「折りたたみ自転車」(男性:8.0%、 女性:4.3%)、「クロスバイク」(9.9%、 1.6%)、「ロードバイク」(8.0%、 1.4%)、「マウンテンバイク」(6.0%、 0.9%)という結果です。
また、近年、自転車に限らず「シェアする」という行為に注目が集まっていますが、今回の調査では男女ともに1%未満という結果でした。都市部のまちなかではシェアサイクルのステーションを見かける機会も増えてきましたが、展開している地域・場所が限られていることもあってか、まだまだ普及しているとは言えない状況のようです。
無事故の人が4割を超える一方で…
「あなたが自転車に乗っているとき、事故にあったり、事故が起こりそうになったりしたことはありますか。ある場合、その事故内容を教えてください」(図表5)という質問に対して、最も多かったのは「事故にあったり、事故が起こりそうになったりしたことはない」(44.8%)という回答でした。
ただ、「事故にあった」「事故が起こりそうになった」という回答をすべて合計すると、115.3ポイントになります。つまり、これまで無事故の人が4割を超える一方で、複数回危険な体験をしている人もいるという結果です。
では、具体的にどのような危ない目にあっている人が多いのでしょうか。最も多かったのは「転倒した」の27.5%です。人以外にぶつかった、ぶつかりそうになったという項目では「動いている自転車」相手が最も多く(22.8%)、「動いている自動車」(17.2%)、「動いていない物」(14.4%)、「動いているバイク・原付」(4.9%)と続きます。自転車相手が多くなっているのは、道路上で近くを走る機会が多くなりやすいからでしょうか。
また、歩行者相手にぶつかった、ぶつかりそうになったという人は「高齢者」相手(9.2%)が最も多く、「高齢者・児童をのぞく」(7.8%)、「児童」(7.2%)という順になっています。
ちなみに、「その他」で寄せられた声のなかには「下り坂道でブレーキワイヤが切れた」という恐ろしい体験も。事故を防ぐためには運転中に気をつけるだけでなく、日常的なメンテナンスも欠かせません。
自転車保険未加入が4割弱
「事故にあった」「事故が起こりそうになった」経験がある人に、「責任は自分にあると思いますか」と聞いたところ(図表6)、 6.6%の人が「自分に責任がある」と感じていました。性年代別で見ると、男女ともに20代と70代以上がほかと比べて割合が高いという傾向があります。
事故というと、思い浮かべるのは保険。月に数回以上の頻度で自転車を利用する人を対象に、「あなたは自転車保険(自転車の事故やけがなどもカバーする自動車保険なども含む)に加入していますか」(図表7)と聞くと「加入している」と回答したのは54.6%でした。「加入したことはない」が31.4%、「以前加入していたが、今はしていない」が6.9%と、加入していないことを明確に認識している人が40%近くいます。また、「わからない」という人も7.1%いました。
ヘルメット着用を条例で呼びかけも
最近では、条例でヘルメットの着用を「努力義務」として定める自治体もあります。「あなたは自転車を使用する際、ヘルメットを着用すべきだと思いますか」(図表8)と質問したところ、「自転車に乗る人は全員着用すべきだと思う」と回答した人は30.4%でした。
それ以上に割合が高かったのが、「スピードの出る自転車に乗る人は着用すべきだと思う」(40.8%)、「児童は着用すべきだと思う」(37.8%)です。
自転車に関する思い出やエピソードを募集したところ、ほのぼのするエピソードが多く寄せられた一方で、危険な目にあったという経験も数多く挙げられました。
「児童の飛び出しが怖い」という意見はもちろんありましたが、児童に限らず、スピードを出している自転車、交通ルールを守らない自転車が怖いという意見が多かったです。「歩道を猛スピードで走る自転車にぶつかりそうになり、怖い思いをしました」「スピードを出して角を大回りするので危険極まりない。無灯火も多い。ながらスマホをしている人もあいかわらずいる」「最近、配達のためにスマホ片手に家を探しながら走っている人がいるので怖い目にあうことがしばしばです!」などなど。
なかには、「右側通行をしてくる人、一時停止せず突進していく人がとても多い。たいていは若い主婦」という声も。
先ほどの「責任は自分にあると思いますか」という質問では、4割以上の人は「自分に責任はない」と回答していましたが、自分の身を守るためにも保険への加入や、ヘルメットの着用など、できることから対策するのがいいのではないでしょうか。
自転車には子ども絡みや子供時代の思い出がいっぱい
自動車やバイクと違い、子どもも乗れるのが自転車の大きな特徴です。「自転車に乗っていて楽しかったこと、危ない目にあった思い出、自転車の安全な利用について考えていることなど、自転車に関する思いやエピソードを教えてください」とお願いしたところ、自分の子どもとのエピソードや、子供時代に乗る練習をしていたときのほほえましいエピソードをたくさん教えてもらえました。同時に「もっとルールを教えたほうがいい」「環境を整備したほうがいい」という意見もあり、個人で注意するだけではなく、社会全体で改善に向けて考える必要もありそうです。
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