ツール・ド・ランカウイ第3Sでボーナスタイム獲得のルバが総合10位に

マレーシアを舞台に行われているアジア最大級のステージレース、ツール・ド・ランカウイは3月20日、距離166kmで第3ステージが行われた。キナンサイクリングは序盤に形成された逃げグループに加わったトマ・ルバが中間スプリントでボーナスタイムを合計3秒獲得。個人総合成績で10位とし、トップが見える位置へと浮上している。

ツール・ド・ランカウイで総合10に浮上したキナンのルバ ©︎ KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

前日の第2ステージでは、ペースの変化が激しかった中でルバ、マルコス・ガルシア、サルバドール・グアルディオラの3選手が先頭集団でフィニッシュ。今後本格化すると予想される個人総合争いを視野に入れながら、ここまで走ることができている。連日気温40度近い暑さの中でのレースとなっているが、徐々に環境にも適応している。

第3ステージは南シナ海沿いを南下するルートで、山岳ポイントが設けられておらず、終始フラットなコースレイアウト。最後は同国東岸の主要都市であるクアラトレンガヌの街へとフィニッシュする。ラスト3kmはテクニカルなコーナーが数カ所待ち受けていて、フィニッシュに向けてスピードが上がる中でトラブルに注意が必要となる。

レーススタート直後のアタックにキナン勢も果敢に加わる。15km地点までに9人が先行を開始。この中にルバが入り、メイン集団との差を着実に広げていく。

20.6km地点に設定されたこの日1つ目のスプリントポイントでルバが2位通過。まずボーナスタイム2秒を獲得する。そのまま9人が先を急ぎながら進み、やがて51.3km地点にある2つ目のスプリントポイントへ。ここでルバが3位通過で、さらに1秒のボーナスタイムをゲット。計3秒のボーナスを得たルバは、この先の戦いを見すえて逃げグループを離脱。消耗する前にメイン集団へと戻った。

その後の集団は積極的にコントロールするチームが現れず、逃げグループとの差は最大で6分40秒にまで広がる。これを境に少しずつタイム差は縮まっていくが、射程圏内にとらえるまでには至らない。そんな中、集団でアシストに従事していた中西健児にバイクトラブルが発生。残り30kmを切った直後のタイミングとあり、集団もフィニッシュに向かってペースアップしている状況。バイクを交換して再出発した中西だったが、あと一歩集団に戻ることができなかった。

ステージ優勝争いは逃げ続けたメンバーの勝負となり、キナン勢が含まれたメイン集団はトップから1分19秒差でのフィニッシュ。これにともない、総合成績もシャッフル。ボーナスタイムが生きたルバは大きくジャンプアップし、個人総合10位に浮上。首位から1分27秒差としている。

その他キナン勢は、ガルシアとグアルディオラがメイン集団で終えたほか、終始ボトル運びなどアシストをこなした山本元喜、終盤は単独走となった中西もフィニッシュし、次のステージへと駒を進めている。

翌21日の第4ステージは、ドゥングン(Dungun)からペカン(Pekan)までの177.6km。引き続き南シナ海を見ながら南下していく。前半に唯一のカテゴリー山岳となる1級の上りが控えるが、その後は平坦。海からの風がレース展開を左右する可能性もあるだけに、決して気を抜くことができない1日だ。

ツール・ド・ランカウイ第3ステージ結果(166km)
1 アダム・デヴォス(カナダ、ラリーサイクリング) 3時間58分18秒
2 キム・デヨン(韓国、KSPO・ビアンキアジアプロサイクリング) +13秒
3 ニクモハドアズワン・ズルキフリー(マレーシア、フォルカアムスキンズレーシング)
4 ハリソン・スウィーニー(オーストラリア、ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ)
5 アヌアル・マナン(マレーシア、フォルカアムスキンズレーシング) +1分19秒
6 エリック・ヤング(アメリカ、ラリーサイクリング)
41 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team)
43 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team)
50 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team)
109 山本元喜(KINAN Cycling Team) +3分39秒
125 中西健児(KINAN Cycling Team) +13分13秒

個人総合時間
1 アダム・デヴォス(カナダ、ラリーサイクリング) 12時間45分31秒
2 ニクモハドアズワン・ズルキフリー(マレーシア、フォルカアムスキンズレーシング) +14秒
3 ハリソン・スウィーニー(オーストラリア、ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ) +22秒
4 リッカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナプロチーム) +1分19秒
5 マッテーオ・マルチェッリ(イタリア、アンドローニジョカットリ・シデルメク) +1分24秒
6 ソー・ジュンヨン(韓国、KSPO・ビアンキアジアプロサイクリング)
10 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +1分27秒
35 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +1分30秒
40 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team)
116 山本元喜(KINAN Cycling Team) +17分5秒
125 中西健児(KINAN Cycling Team) +26分39秒

ベストアジアンライダー
1 ニクモハドアズワン・ズルキフリー(マレーシア、フォルカアムスキンズレーシング) 12時間45分45秒
50 山本元喜(KINAN Cycling Team) +16分51秒
56 中西健児(KINAN Cycling Team) +26分25秒

スプリント賞
1 キム・デヨン(韓国、KSPO・ビアンキアジアプロサイクリング) 27pts
22 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 5pts

山岳賞
1 ベルナルドアルベイロ・スアザ(コロンビア、マンザナポストボンチーム) 19pts

チーム総合
1 ラリーサイクリング 38時間19分44秒
14 KINAN Cycling Team +1分19秒

山本元喜

山本元喜のコメント
30度台後半の気温でも多少涼しく感じられるようになっていて、暑さに慣れてきていることを実感している。ただ暑いことには変わりないので、レース後半の集中力が課題となりそうだ。大会前はベストアジアンライダーや、総合上位に入ってのUCIポイント獲得を狙っていたが、第2ステージで暑さとレース展開に対応できず、あきらめざるを得ない形になった。ねらいをステージ優勝に切り替えて、ターゲットとするステージを定めて走りたい。あとはアシストとしてもチームに貢献したい。
一度トマが入っていた逃げグループがそのままステージ優勝争いとなったが、いまからリーダージャージを手にして、残るステージでそれを守り切れるかどうかは分からない。暑さやレースバリューを考えると、決して簡単ではないと思う。(他チームと比較して)1人少ない状況も含めて、自分たちはもう少し追う立場であってもよいかなと感じている。

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