初めての福井県サイクリング。同県代表として国体ロードを連覇したプロロード選手、キナンサイクリングの中島康晴キャプテンにおすすめポイントを教えてもらい、2回に分けて各地をたどった。第1弾の今回は永平寺、あわら温泉がある県北部「嶺北」を実走。そこは海あり山あり、そしておいしいものありの自転車パラダイスだった。
サイクリスト目線で観光地を評価する
日本海に面し、三方が山に囲まれる福井県は、さまざまなサイクリングコース設定が可能だ。越前市で生まれ育ち、県内の小学校で使われる道徳の副読本にも登場する中島選手だが、ここには四季折々の魅力があるという。春は雪の冬を耐え抜いた足羽川の桜並木。夏は水平線に落ちる夕日。秋は刈込池(大野)の水面に映る紅葉美。冬は越前かにの香りと街の活気や荒々しい日本海。
中島選手が紹介してくれたポイントは、観光ガイドに掲載されているような名所とは異なる。まさしくサイクリスト目線だ。観光地として東尋坊もいいかもしれないが、自転車シューズではアクセスしにくい。福井に行ったら絶対に訪れたほうがいいとだれもが言う永平寺も、「駐めただけでご利益がありそうな駐輪場」と目の付けどころが違う。
えちぜん鉄道もいい。
「週末なら三国港駅からサイクルトレインで山までアクセスできます。福井平野の向かい風も回避でき、標高の高い山側に連れていってくれる味方」という。全国的にも珍しいアテンダントが添乗し、ガイドもしてくれるらしい。北の終着・三国港駅の近くにある眼鏡橋も、「なんとなく歴史感じます」とイチ押し。中島選手はサイクリストでもあるが鉄道好きなのだ。
福井県もサイクルツーリズムを後押し
福井県はサイクルツーリズムと言われる、自転車を利用した新しいタイプの観光振興に力を注いでいる。「自転車の駅」という名称で工具貸し出しなどを行うスポットを県内100カ所超に設置。県ホームページには「ふくいサイクリングルートマップ」が掲載され、ダウンロードすることもできる。
京都府や琵琶湖に接する嶺南エリアには交通の要衝である敦賀市などがあり、トラックなどの通行が増えるが、嶺北の交通量は首都圏と比べれば少なく感じられた。ドライバーの運転もおだやかだ。北陸地方だけに路面には消雪装置が敷設されているが、重車両が少ないためか舗装は比較的きれい。降雪のないこれからの季節はサイクリングにうってつけのロケーションとなる。足羽川の桜並木を見ながら一乗谷朝倉氏遺跡を訪ねたり、情緒あふれる三国港から荘厳な永平寺を目指す片道40kmのコースなどがおすすめだ。
サイクリング途中に食べるものとしては、食後すぐに運動しても胃腸にそれほど負担がかからない「そば」だ。福井県はインターネットメディア「ねとらぼ」の全国そば人気投票1位。中島選手もオフシーズンにはファン交流イベントとして「そば打ち」を主催する。現在はコロナ禍で中断しているが、「一段落したら今度は都内でやりたいです」という。
永平寺町にある「けんぞう蕎麦」はおろしそばが定番の人気店。からみ大根のしぼり汁につけて食べるので、かなり辛い。店内はコロナ禍もあって少人数の座敷でゆったり。客席よりも駐車場の数のほうが多い。
●けんぞう蕎麦のホームページ
首都圏からは宿泊をともなう旅となるので、あわら温泉などに宿泊して汗を流すと最高。
「あわら湯のまち駅前にある足湯にぜひ。その名も“芦湯”。しかも混浴可能です(笑)」と中島選手。
サイクリングでも福井を訪れたら外せないのは永平寺
福井県永平寺町にある曹洞宗の大本山「永平寺」。700年以上ある歴史と伝統を受け継いでいる禅の道場として知られる。JR福井駅からはえちぜん鉄道とバスを乗り継ぎ、さらに徒歩で向かうことになる。クルマがあればいいが、サイクリングはなだらかな上り坂を進めば意外と簡単にアクセスできる。
●永平寺のホームページ
福井県サイクリング第2弾は気比の松原や三方五湖がある「嶺南」を実走報告。
【福井県サイクリング三部作】
①福井県の走り方
②福井サイクリング嶺北編(このページ)
③福井サイクリング嶺南編
●福井県によるサイクリング情報ページ
●中島康晴のtwitter
●キナンサイクリングの公式ホームページ