女子版ツール・ド・フランスは驚くべき新機軸で開催へ

女子版ツール・ド・フランスの第1回ツール・ド・フランスファム・アベックズイフトが2022年7月24日から31日まで開催される。2021年10月14日にパリ国際会議場でプレゼンテーションが行われ、男子のツール・ド・フランスに先がけて発表された。

男子レース最終日にパリで始まり、難度が高まったラプランシュへ

大会名のFemmesは「女性」という意味のフランス語で、バーチャルサイクリングシステムのズイフトが大会メインスポンサーとなった。とは言ってもバーチャルの室内大会ではなく、実際にフランスを駆けめぐるリアルなステージレースだ。

1984年から1989年まで女子部門として「ツール・ド・フランスフェミナン」が男子集団に先行して走っていた時代がある。男子よりも短い日程、短い距離ながら同じコースを使って3時間ほど前を走った。2022年に始まる女子ステージレースは、過去のそれとは明らかに異なる設計だ。開幕日こそ男子レースの最終日としてゴールするパリだが、全8ステージのレースコースは独自のものだ。

時代が女子ステージレースの開催を後押ししたといっても過言ではない。「ツール・ド・フランスフェミナン」は1989年を最後に廃止され、その後はワンデーレースが開催されてきた。そして男女の出場機会均等化の流れから、女子レースの存在が再注目されるとともに、スポンサーがつくようになり、1つの国際レースとして新たな一歩を2022年から始める態勢が整った。

ツール・ド・フランスの2人のディレクター。左がクリスティアン・プリュドム、右が女子レースのマリオン・ルス ©A.S.O. Fabien Boukla

大会ディレクターには、かつてツール・ド・フランスの敢闘賞の表彰台でアテンドを務めたマリオン・ルスが就任した。ロット・ベリソルの選手としてはフランス選手権に1回だけ勝った程度だが、その後はフランステレビジョンの生放送で男性陣を差し置いてツール・ド・フランスの解説者を務めるなど非凡な才能を発揮。よどみない発言とキレのある思考力を武器にツール・ド・フランスファムを力強くけん引していくことになる。

マリオン・ルス ©A.S.O. Fabien Boukla
A.S.O.のアモリ社長(手前)の横に座るのが女子世界チャンピオンのエリーザ・バルサモ(イタリア) ©A.S.O. Fabien Boukla

大会3日目はシャンパーニュ街道として世界遺産登録されるエペルネへ。2019ツール・ド・フランスの第3ステージでフランスのジュリアン・アラフィリップが独走優勝してマイヨジョーヌを獲得した場所だ。ルスとアラフィリップは私生活のパートナーでもある。

最終日は逆転優勝の可能性があるラ・シュペールプランシュ・デ・ベルフィーユにゴールする。近年の大会でも総合優勝に大きく関わってきたラ・プランシュデベルフィーユが「スーパー=シュペール」の形容詞をつけた新コースで登場する。

新人賞ジャージのスポンサーはジャイアントの女性ブランドLiv ©A.S.O. Fabien Boukla

●2022ツール・ド・フランスファム・アベックズイフトのコース

7月24日(日) 第1ステージ パリ・エッフェル塔〜シャンゼリゼ 82km
7月25日(月) 第2ステージ モー〜プロバン 135km
7月26日(火) 第3ステージ ランス〜エペルネ 133km
7月27日(水) 第4ステージ トロワ〜バールシュローブ 126km★
7月28日(木) 第5ステージ バールルデュック〜サンディエデボージュ 175km★
7月29日(金) 第6ステージ サンディエデボージュ〜ロスハイム 128km★★
7月30日(土) 第7ステージ セレスタ〜ルマルクステン 127km★★
7月31日(日) 第8ステージ リュール〜ラ・シュペールプランシュ・デ・ベルフィーユ 123km★★

写真=A.S.O. Thomas Maheux

2022ツール・ド・フランスはラルプデュエズ復活

2022年に開催される第109回ツール・ド・フランスのコースが発表された。大会史上初めて北欧のデンマークで開幕。大会4日目にフランスに移動し、全日程は1日増の24日間となる。前半にアルプス、後半にピレネーを越える。

コース発表を見守るジュリアン・アラフィリップら ©A.S.O. Fabien Boukla

デンマークで最初の3日間を過ごした後、空路で北フランスのダンケルクへ。第5ステージは北の地獄と呼ばれる石畳の悪路を走る。山岳コースに突入するのは第7ステージで、ボージュ山脈が舞台。近年の大会でも総合優勝に大きく関わってきたラ・プランシュデベルフィーユが「スーパー」の冠をつけた新コースで登場する。

10月14日にパリ国際会議場でコースプレゼンテーションが行われた ©A.S.O. Fabien Boukla

さらにスイスを訪問し、アルプスでは4年ぶりに復活した最高の大舞台、ラルプデュエズへ。ブリアンソン〜ラルプデュエズ間は1986ツール・ド・フランスでベルナール・イノーとグレッグ・レモンが手を取り合ってゴールしたステージとまったく同じルートを採用した。日本では前年にNHKで初めて特集番組が組まれ、2年目の1986年もイノーとレモンというチームメートの確執に揺れた戦いを克明に紹介し、日本でのツール・ド・フランス認知が一気に高まった。そんな伝説のステージをフランス革命記念日の7月14日に走る。

レースは中央山塊を経て、後半の勝負どころのピレネーでの戦い。最終日前日に個人タイムトライアルを走り、最終日となる7月24日にパリ・シャンゼリゼに凱旋する。総距離3328km。

プレゼンテーションに出席したタデイ・ポガチャル ©A.S.O.-Fabien-Boukla
世界に誇るサイクルシティ、コペンハーゲン ©Thomas Rousing

●2022ツール・ド・フランスのコース

7月1日(金) 第1ステージ コペンハーゲン(デンマーク) 13km(個人タイムトライアル)
7月2日(土) 第2ステージ ロスキレ〜ニュボー(デンマーク) 199km
7月3日(日) 第3ステージ バイレ〜セナボー(デンマーク) 182km
7月4日(月) 移動日
7月5日(火) 第4ステージ ダンケルク〜カレー 172km
7月6日(水) 第5ステージ リール〜アランベール 155km★★
7月7日(木) 第6ステージ バンシュ(ベルギー)〜ロンウィー 220km★
7月8日(金) 第7ステージ トンブレーヌ〜ラ・シュペールプランシュ・デ・ベルフィーユ 176km★★★
7月9日(土) 第8ステージ ドル〜ローザンヌ(スイス) 184km★★
7月10日(日) 第9ステージ エーグル(スイス)〜シャテル 183km★★
7月11日(月) 休日
7月12日(火) 第10ステージ モルジンヌ〜ムジェーブ 148km★★
7月13日(水) 第11ステージ アルベールビル〜グラノン峠 149km★★★
7月14日(木) 第12ステージ ブリアンソン〜ラルプデュエズ 166km★★★
7月15日(金) 第13ステージ ブールドワザン〜サンテティエンヌ 193km
7月16日(土) 第14ステージ サンテティエンヌ〜マンド 195km★
7月17日(日) 第15ステージ ロデズ〜カルカッソンヌ 200km
7月18日(月) 休日
7月19日(火) 第16ステージ カルカッソンヌ〜フォワ 179km★
7月20日(水) 第17ステージ サンゴーダン〜ペラギュード 130km★★★
7月21日(木) 第18ステージ ルルド〜オタカム 143km★★★
7月22日(金) 第19ステージ カステルノ・マニョアック〜カオール 189km
7月23日(土) 第20ステージ ラカペル・マリバル〜ロカマドゥール 40km(個人タイムトライアル)
7月24日(日) 第21ステージ パリ・ラデファンス〜パリ・シャンゼリゼ 112km
★は難易度 総距離3328km

クリスティアン・プリュドム(左)と女子レースディレクターのマリオン・ルス ©A.S.O. Fabien Boukla
第5ステージの石畳セクション
第11ステージ
第12ステージ
第17ステージ
第18ステージ

女子版ツール・ド・フランスは驚くべき新機軸で開催へ

第1回ツール・ド・フランスファム・アベックズイフトは2022年7月24日から31日まで

2022ツール・ド・フランスのコースは10月14日18時からストリーミング配信

2022年の第109回ツール・ド・フランスのコースプレゼンテーションが10月14日午前11時にパリ国際会議場で発表される。この模様は公式サイトのライブストリーミングによって、世界中で視聴できる。日本時間は10月14日午後6時から。

ツール・ド・フランスのコースプレゼンテーション ©A.S.O./T.Colpaert

2022年のツール・ド・フランスは開幕からの3日間、北欧デンマークのコペンハーゲンやその近隣都市で開催されることがすでに発表されている。当初は2021年7月2日(金)、第108回大会がコペンハーゲンでのタイムトライアルで開幕し、同国で3日間を過ごす計画だった。しかしコロナ禍により東京五輪とサッカー欧州選手権が1年延期となったことで状況が一変した。

コペンハーゲンは欧州選手権3試合の会場で、同時期に2つの国際大会を運営・警備することが困難と判断。ツール・ド・フランス開幕地を返上した。これを受けてブルターニュ地方が第108回大会の開幕地を名乗り出た。コペンハーゲンは2022年にツール・ド・フランス開幕地にスライドした。

ツール・ド・フランス発表ライブストリーミング
(公開を終了しました=2023年4月25日追記)

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東京五輪重複回避の2021ツール・ド・フランスはブルターニュ開幕
🇫🇷ツール・ド・フランス特集サイト
●ツール・ド・フランスのホームページ

ツール・ド・フランスファム、女子ステージレースも同時発表

2022年7月24日から31日まで、8日間のステージレースとして行われる女子レース、ツール・ド・フランスファム・アベックズウィフトも同時に発表される。女子ツール・ド・フランスは1984年から1989年までステージレースとして開催されていて、2022年から復活する。

パリ五輪が金銀記念ユーロ通貨…国土をまねて六角形に

2024年パリ五輪の記念ユーロ通貨がモネ・ド・パリ(パリ造幣局)から9月22日に発表された。世界初の六角形をしたもので、250ユーロ金貨(販売価格は税込み260ユーロ)と10ユーロ銀貨(同14ユーロ)を発売する。また2ユーロ貨幣(同20ユーロ)の発売も明らかになった。

パリ2024記念2ユーロ通貨

2024パリ五輪・パラリンピックの開催は、パリ造幣局がこれまで以上に美しく革新的な製品を提供するために自らを刷新し続ける機会と位置づけられた。そのためフランスの領土に敬意を表して六角形のコインを打ち出した。100年前に開催されたパリ五輪とは異なる新たな時代を印象づける意図もある。

コインの表面は、陸上競技で全力疾走するマリアンヌ。マリアンヌ(Marianne)はフランスという国を象徴する女性像で、自由の女神として国民に愛されている存在。スポーツの練習に場所の誇りを与えます。陸上競技の400mトラックとパリのシンボルであるエッフェル塔が描かれている。

裏側はユーロ金額の刻印を除けば金と銀は共通デザイン。フランスが発行する通貨に必ず刻まれる「自由、平等、博愛」の文字がある。

パリ2024記念10ユーロ通貨

金と銀は発表と同日に販売開始。2ユーロ通貨は間もなく発売を始めるという。

●パリ造幣局の詳細ページ

ポガチャルがツール・ド・フランス連覇…ファンアールトがパリで3勝目

第108回ツール・ド・フランスは最終日となる7月18日、シャトゥ〜パリ・シャンゼリゼ間の108.4kmで第21ステージが行われ、UAEエミレーツのタデイ・ポガチャル(スロベニア)が2連覇を達成した。

2連覇を達成したポガチャル ©A.S.O. Charly Lopez

ポガチャルは第5ステージの個人タイムトライアルで優勝して首位に肉薄。アルプスの第8ステージで首位に立ち、ピレネーの第17、18ステージで連勝。最終的に総合2位ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)に5分20秒差をつけて圧勝した。

ポガチャルは2020年と同様に4つのリーダージャージのうち、個人総合優勝のマイヨジョーヌ、山岳賞、新人賞の3枚を手に入れた。

10年ぶり2度目のポイント賞を獲得したマーク・カベンディッシュ(左端)、世界チャンピオンのジュリアン・アラフィリップ(その右) ©A.S.O. Charly Lopez
4賞ジャージは左から山岳賞のワウト・プールス(繰り上げ着用)、個人総合のポガチャル、新人賞のヨナス・ビンゲゴー(繰り上げ着用)、ポイント賞のカベンディッシュ ©A.S.O. Charly Lopez
ルーブル美術館の中庭を貫通する ©A.S.O. Aurélien Vialatte
2021ツール・ド・フランス第21ステージ ©A.S.O. Aurélien Vialatte
パリ・シャンゼリゼにゴールしたのは141選手だった ©A.S.O. Charly Lopez
エトワール凱旋門 ©A.S.O. Charly Lopez
18/07/2021 – Tour de France 2021 – Etape 21 – Chatou / Paris Champs Elysees (108,4 km) –

パリにゴールした最終ステージの勝者はユンボ・ビスマのワウト・ファンアールト(ベルギー)。前日の個人タイムトライアルに続く3勝目。

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)
マイヨベール(ポイント賞)マーク・カベンディッシュ(英国、ドゥクーニンク・クイックステップ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

タデイ・ポガチャルが2021ツール・ド・フランス総合優勝 ©A.S.O. Romain Laurent

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🇫🇷ツール・ド・フランス2021特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト

ファンアールトが最後のTTを制す【ツール・ド・フランス20S】

第108回ツール・ド・フランスは最終日前日となる7月17日、総合成績をほぼ確定させる2回目の個人タイムトライアルが第20ステージとしてリブルヌ〜サンテミリオン間の距離30.8kmで行われ、ユンボ・ビスマのワウト・ファンアールト(ベルギー)が35分53秒のトップタイムで優勝。山岳区間の第11ステージに続く2勝目で、大会通算5勝目を飾った。

ワウト・ファンアールトがトップタイム ©A.S.O. Pauline Ballet

首位のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)は転倒などのリスクを回避する安全重視の走りで57秒遅れの8位に。総合2位ヨナス・ビンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ビスマ)が3番目の好記録を出したが、ポガチャルは総合成績で5分20秒差をつけ、大会連覇を確実にした。

トタルエネルジーのジュリアン・シモンがスタート ©A.S.O. Charly Lopez
DSMのニルス・エーコフが個人タイムトライアルを走る ©A.S.O. Charly Lopez
2021ツール・ド・フランス第20ステージ ©A.S.O. Charly Lopez
赤ワインの世界的産地サンテミリオンが舞台 ©A.S.O. Charly Lopez
EFエデュケーションNIPPOのヨナス・ルッチ ©A.S.O. Charly Lopez
EFエデュケーションNIPPOのニールソン・ポーレス ©A.S.O. Charly Lopez
2021ツール・ド・フランス第20ステージ ©A.S.O. Charly Lopez
ユンボ・ビスマのマイク・テウニッセン ©A.S.O. Pauline Ballet
2021ツール・ド・フランス第20ステージを走るマイヨジョーヌのポガチャル ©A.S.O. Charly Lopez
連覇を確実にしたタデイ・ポガチャル ©A.S.O. Aurélien Vialatte
タデイ・ポガチャルが最終日前日の恒例の優勝者会見に臨む ©A.S.O. Aurélien Vialatte

●4賞ジャージ
マイヨジョーヌ(個人総合成績)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)
マイヨベール(ポイント賞)マーク・カベンディッシュ(英国、ドゥクーニンク・クイックステップ)
マイヨブラン・アポワルージュ(山岳賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)
□マイヨブラン(新人賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEエミレーツ)

夏祭りもいよいよ終わりが近い ©A.S.O. Aurélien Vialatte

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🇫🇷ツール・ド・フランス2021特集サイト
🇫🇷ツール・ド・フランス公式サイト