選手と観客の距離は1.5mでマスク必着…それが確保できなければ閉鎖

バスク政府とブエルタ・ア・エスパーニャ組織委員会は、アラーテ峠とオルドゥニャ峠を完全閉鎖すると10月6日に発表した。新型コロナウイルス感染拡大を防ぐためのソーシャルディスタンス確保が困難だと判断したことが理由。

2020ブエルタ・ア・エスパーニャは当初、75回記念大会として例年より1日増の全24日間、8月14日(金)にオランダのユトレヒトで開幕し、フランスやポルトガルを訪問する壮大なコースを予定していた。

しかしコロナ禍によって大会は延期。さらにオランダ政府とポルトガル政府が相次いで大規模イベント開催不可の通達を発表。10月20日(火)に開幕日をスライドし、スペイン北部のバスク地方でスタートし、ポルトガルを通らないコースに修正して11月8日(日)までの20日間による開催となった。

グランツールのジロ・デ・イタリア(10月3〜25日)と開催日が6日間も重複するというのも前代未聞だが、欧州は感染者が激増している現状からバスク政府が異例の追加措置を断行することになった。

バスク政府と大会組織委員会は、10月20日の第1ステージのゴールとなるアラーテ峠、27日の第7ステージに通過するオルドゥニャ峠を完全閉鎖。観客を近づけないことにした。

バスク政府は、「現在の疫学状況は、国民の健康を守るための適切な条件を満たしていない」と結論。2つの山岳ルートは地形的な特性によって、人と人との最小安全距離を制御することは不可能だと判断した。

バスク政府は2020年8月19日、地域保健省からスポーツイベント開催時のルールを命じられている。ロードサイクリングの場合、1スペースあたりの最大人数は1000人で、観客と選手間の物理的な距離は1.5mであり、マスクの着用が必須であると規定されているという。

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ブエルタ・ア・エスパーニャが公式マスク…サプライヤー契約

業務用安全用品のパレデス・セグリダード社がユニパブリックと契約を結び、2020ブエルタ・ア・エスパーニャでのマスクと安全靴の公式サプライヤーとなった。

大会のマネージングディレクター、ハビエル・ギレンは、「パレデスのような会社と協力して従業員の保護を行うことは義務だ。私たちは喜び、安心している」とコメント。

職場の安全を専門とするパレデス・セグリダード・プロジェクトは、パレデスグループの一員で、プロの保護機器の国際的ブランドの1つ。2020年大会では、レーススタッフの新型コロナウイルス感染拡大の防止策として、特別な保護靴とFFP2マスクを使用する。

マスクは、独自の研究所によって国際的に認定された高品質の材料を駆使して最大限の保護を確保。すべての欧州連合の要件を満たしているという。

通常のマスクは3〜4層の構造だが、二重保護と5層を有するのが特徴。安全性のレベルを大幅に向上させる特別なフィルターとレイヤーで構成されているという。

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2020ブエルタ・ア・エスパーニャがオランダとポルトガルを外した新コース

2020年ブエルタ・ア・エスパーニャが新型コロナウイルス感染拡大により延期となった大会の新ルートを発表した。開幕から3区間を予定していたオランダを外し、渡航禁止によってレース訪問を拒絶したポルトガルのルートをスペインに移した。全18区間。

新型コロナウイルスによって延期された2020ブエルタ・ア・エスパーニャの修正コース

新型コロナウイルスによる世界的な健康危機によりポルトガルの通過が不可能によって引き起こされた例外的な状況のために、大会主催者は2つのポルトガルのステージ都市をスペインに置き換えて、レースのルートを再構成した。

修正された2区間は総合優勝を左右する難関

ルートの変更はステージ都市だけでなく、ステージ自体のプロファイルにも影響を与えた。第15ステージは234.6kmで、今大会で最も長いステージとなった。退会テクニカルディレクターのフェルナンド・エスタートンは「コースの地形と距離を考えると、大きな逃げが決まる可能性が高い」と述べた。

「曲がりくねった地形で、集団は逃げを制御するのに苦労する。さらに2016年とは異なり、今回はプエルバデサンブリアがレースの最後の週に位置するので、チームは選手数を減らしてゴールまで走ることになる」

第16ステージは総合優勝に影響する山岳が新設された。
「フィニッシュ手前30kmにカテゴリー1の山岳があり、有力選手はふるいにかけられる。おそらく、優勝候補を含めて約30〜40人の小さなグループになる。総合優勝をねらう選手は、退会終盤に位置するここでの走りをミスすると致命傷となるため、集中する必要がある」

2019ブエルタ・ア・エスパーニャ ©Photogómez Sport

2020ブエルタ・ア・エスパーニャ日程
10月20日(火) 第1ステージ イルン〜アラーテ 171km★★
10月21日(水) 第2ステージ パンプローナ〜レクンベリ 151km★★★
10月22日(木) 第3ステージ ロドサ〜ラグナレグナ・デ・ビヌエサ 163.8km★★★
10月23日(金) 第4ステージ ガライ〜エヘアデロスカバレロス 190km
10月24日(土) 第5ステージ ウエスカ〜サビニャニーゴ 185.5km★
10月25日(日) 第6ステージ ビエスカス〜ツールマレー峠(フランス) 136.6km★★★
10月26日(月) 休養日
10月27日(火) 第7ステージ ビクトリアガステイズ〜ビジャヌエバ・デ・バルデゴビア 160.4km★
10月28日(水) 第8ステージ ログロニョ〜アルトデモンカルビリョ 164.5km★★★
10月29日(木) 第9ステージ カンペアドール〜アグイラルデカンポ 163.6km
10月30日(金) 第10ステージ カストロウルディアレス〜スアンセス 187.4km
10月31日(土) 第11ステージ ビジャビシオサ〜アルトデラファラポナ 170.2km★★★
11月1日(日) 第12ステージ ラポララビアナ〜アングリル 108.5km★★★
11月2日(月) 休養日
11月3日(火)  第13ステージ ミュロス〜ミラドルデエザロ 33.7km (個人タイムトライアル)
11月4(水) 第14ステージ ルーゴ〜オウレンセ 205.8km★
11月5日(木) 第15ステージ モス〜プエルバデサンブリア 234.6km★★
11月6日(金) 第16ステージ サラマンカ〜シウダーロドリゴ 162km★★
11月7日(土) 第17ステージ セクエロス〜アルトデラコバチラ 178.2km★★★
11月8日(日) 第18ステージ ザルツエラ〜マドリード 125.4km
総距離2892.2km ★は難易度 太字はコースが修正されたところ

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ブエルタ・ア・エスパーニャはポルトガルに入国できず…コース変更へ

2020ブエルタ・ア・エスパーニャが、新型コロナウイルス感染懸念を示すポルトガルの領内に入ることができなくなり、コース変更を余儀なくされている。

当初の発表では2020年の第75回ブエルタ・ア・エスパーニャのコースはこんな感じだったが…

ブエルタ・ア・エスパーニャは当初予定されていた開幕からのオランダ3ステージをカット。8月14日〜9月6日の24日間の日程から、10月20日〜11月8日の18日間に変更することを発表していた。今回はさらにポルトガルを走る予定だった第15、16ステージのコース変更が必要となった。

新型コロナウイルスによって引き起こしている状況は、ポルトガルにおける円滑なレース運営は不可能であると、ポルト、マトシニョス、ビセウの自治体がブエルタ・ア・エスパーニャ主催者のユニパブリックに通告。レースはポルトガルを通過しないことを決定した。

ポルトとマトシニョス間で行われる第15ステージと、ビセウをスタートする第16ステージのルートがスペイン国内に変更される。ポルト、マトシニョス、ビセウに代わる都市はすでに決まっているが、コースの最終的なプロファイルが決定するのは数週間かかるという。

ブエルタ・ア・エスパーニャのハビエル・ギレン代表は、「我々が経験している事態と同じくらい異例の状況なのだから、柔軟でオープンな心を持ち、このような決定と変更を理解する必要がある」とコメントした。

「我々は2020年にポルトガルを訪問することができないことを残念に思うが、この炎が消えることを望んでいない。両国の関係を将来まで維持し、歴史に深く関わった隣国を再び訪れたい」と付け加えた。

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大会延期のブエルタ・ア・エスパーニャが出場22チーム発表

2020ブエルタ・ア・エスパーニャが出場22チームを発表した。新型コロナウイルス感染拡大により、大会は当初予定のオランダ開幕、8月14日〜9月6日の24日間の日程から、10月20日〜11月8日の20日間・18区間に変更した。

UCIワールドチーム19、2019UCIプロチーム1、ワイルドカード2、全22チーム。

ジロ・デ・イタリア同様に延期を余儀なくされたが、新日程は10月3〜25日。ブエルタ・ア・エスパーニャと日程重複することから両大会に出場するチームは選手をやりくりする必要に迫られた。

●UCIワールドチーム
AG2Rラモンディアール(フランス)
アスタナ(カザフスタン)
バーレーン・マクラーレン(バーレーン)
ボーラ・ハンズグローエ(ドイツ)
CCC(ポーランド)
コフィディス(フランス)
ドゥクーニンク・クイックステップ(ベルギー)
EFプロサイクリング(米国)
グルパマFDJ(フランス)
イスラエル・スタートアップネイション(イスラエル)
ロット・スーダル(ベルギー)
ミッチェルトン・スコット(オーストラリア)
モビスター(スペイン)
NTTプロ(南アフリカ)
イネオス・グレナディアス(英国)
ユンボ・ビスマ(オランダ)
サンウェブ(ドイツ)
トレック・セガフレード(米国)
UAEエミレーツ(UAE)
●2019UCIプロチーム1位
トタルディレクトエネルジー(フランス)
●ワイルドカード
ブルゴスBH(スペイン)
カハルラル・セグロスRGA(スペイン)

2019ブエルタ・ア・エスパーニャ第13ステージ ©Photogómez Sport

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2020ブエルタ・ア・エスパーニャがオランダ開幕を断念

オランダで開幕するはずだった2020ブエルタ・ア・エスパーニャは同地でのレースを断念した。4月29日に主催者ユニパブリックとラ・ブエルタ・オランダ組織委員会が発表した。当初は8月14日にユトレヒトで開幕し、ゼルトゲンボス、ブレーダなどで3日間にわたってレースを行い、9月6日にスペインの首都マドリードにゴールする予定だった。

当初計画された2020年の第75回ブエルタ・ア・エスパーニャ

新型コロナウイルス感染拡大により、4月15日に国際自転車競技連合が2020年のサイクリングカレンダーの再編成を通告。またオランダ政府がすべての主要なスポーツイベントを9月1日まで禁止すると決定。これを受けて地元組織委員会とユニパブリックが各所と調整する事態となった。ブエルタ・ア・エスパーニャは、当初予定されていた日程ではなく、世界選手権ロードの後に行われるべきだとした。

最終的に、ユトレヒトのグランデパールを実現したいという当事者の意欲にもかかわらず、これらの厳しい条件にあてはまる新しい日付は見つからなかった。

大会が延期開催してもオランダの3日間は非開催

「オランダからラ・ブエルタ2020がスタートすることは、素晴らしい夏祭りとして考案されたプロジェクトだった。これらの特別なイベントのために必要なすべての条件を満たし、レースの公式スタートを円滑に実行することは不可能であることを考えると、オランダ開幕は断念せざるを得なかった」と現地関係者。

ユトレヒトのヤン・ファンザネン市長は、プロジェクトに関与するすべての関係機関を代表して、「私たちの意図は、大きなスペインの祭りをオランダの町々で組織することだったが、これは技術的に不可能となってしまった。新型コロナウイルスの収束は不確実で、私たちにこの決定を余儀なくされた。大きな失望だが、健康が第一」とコメントした。

ただし、すでにオランダ開幕構想は時期をずらしての実現に向けた話も。2022年を新たな設定として関係機関に働きかけていきたいという。

2019ブエルタ・ア・エスパーニャ。バルベルデをマークするマイヨロホのログリッチェ ©Photogómez Sport

4月29日第2報で全18ステージ、バスクの山岳区間から開幕

ブエルタ・ア・エスパーニャは4月29日、オランダでの3日間を断念した発表後に、当初の第4ステージを初日にすると第2報を発表した。

その結果、第1ステージはイルンをスタートしてアラーテまでの山岳ステージとなる。当初の2020ブエルタ・ア・エスパーニャは金曜日開幕で、大会4日目に移動日を設定していたので、初日は火曜日になる可能性がある。日程はまだ発表されていない。

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