3大会連続で五輪代表となった新城幸也が7月15日、日本オリンピック委員会が統括するオンライン取材に応じ、「コロナ禍で大変な中、できることは自転車に乗ること。東京五輪が開かれることは素直にうれしい。みなさんに楽しんでもらえることができれば」と語った。
2021年7月24日、東京五輪最初の決勝種目として自転車競技男子ロードレースが開催される。日本代表は新城と増田成幸のベテラン2人。強豪国は参加枠最大の5選手、あるいは4選手を起用するなどで組織的な動きが可能になる。これに対し日本勢2選手はどんな走りを見せるのかが注目される。
希望としては序盤から動くレースのほうがいい
獲得標高4865mという山岳コースに加えて、暑さ対策が求められる過酷な2020東京五輪レースだが、沖縄県出身の新城は「暑ければ暑いほどボクにとっては有利」と恐れはない。
「紙の上では(上りの厳しさなど)そうだけど、ロードレースはそれだけではなくて展開というものがある。紙の上で判断したらボクなんて上位と遠いところにいる。いまの実力では世界の中の順位は分かっているけど、あらゆる可能性をもって日本で行われる五輪レースに臨みたい。展開を判断してどう動くのか。レース全体を見ながらいろんなことができるように準備してきました」
どんな展開が望ましいかという質問には、「逆に、一番望んでいない展開は三国峠までスローペースで行くことです」と答えた。コース終盤に位置する三国峠は欧州でもそれほどないような激坂で、メダルを争う有力選手らがそこだけを待ってレースが動くのだけは避けたいという。
「コースはすぐに東京を出て、中盤から難易度はキツいけど、ボクにはそれがいいと思う。希望としては序盤から動くレースのほうがいいです」
気になる順位予想は、「数字で言えば簡単ですよ」という。「30位以内に入るのはかなり難しいです。でも日本で行われる五輪だし、いい準備ができている」
5月のジロ・デ・イタリアでグランツール14回目の完走を果たした。五輪直前のツール・ド・フランスもリザーブの筆頭となっていて、開幕ギリギリまで現地にとどまっていたという。
「仮にツール・ド・フランスを走ったとしても、五輪もしっかりと走れる準備はできていた。世界の中の実力では30位になるのがやっとだけど、自転車レースは展開次第で状況が変わる。大会会場にしっかり前に入ってトレーニングできたのはアドバンテージになる。いい結果をつかめるようにしっかりと練習してきたので、当日は楽しみしかないです」
こんなにレースを走らないで走る五輪はないので、不安でもあり楽しみでも
新型コロナウイルスにより大会は1年延期になり、開幕直前も大会を取り巻く世論は荒れている。
「そればかりはしょうがないです。それは人命に関わること。ヨーロッパのロードレースではその環境下でなんとかやってきた。中止になることなく、五輪が開かれることはうれしいです」
主戦場となる欧州からはオリンピックバブルという大会がプログラムした感染対策の中で帰国。ホテルでの自主隔離3日間は免除されるものの、毎日のPCR検査と居所申請をしなくてはならない。
「コンビニにも行けないし、ご飯を食べるのは宿泊先だけと決められています」
ナショナルチームのスタッフとサポートされて、コースは部分的に分けて、自転車通行不可の有料道路と富士スピードウェイを除いて何度も試走している。試走できていない部分もレース直前には走る予定だ。
「印象としてはデータで見たとおりの厳しい上りです。計り知れないのは天候ですね。過去2回の五輪でも男子ロードは競技初日。今回は地元開催なので日本選手としていいスタートになれるように。みなさんに喜んでもらえる走りができるように頑張ります。天気がいいことを願うばかりです」
プレッシャーは全くないという。そのときになったら感じるんじゃないですかねと笑顔もこぼれる。こんなにレースを走らないで走る五輪はないので、それは不安でもあり楽しみでもあるという。
「練習がどんなにできていても結果を出すのはレースなので。優勝候補は30人くらいいます。増田さん以外の全員が敵ですよ。他の強豪国は5人や4人なので、増田選手と2人でレースを動かせるというものではなく、レースを走りながら2人で協力して日本選手としてどちらかがいい成績を残せばいいです」
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